3Dを活用すれば原発の安全性は高まる 仏ダッソー・システムズ シャーレス社長兼CEOに聞く

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要になるのはシミュレーション技術。たとえばデジタルモックアップは、ただ単に部品を組み合わせるだけではありません。実データに基づいてデジタルモックアップを動かすこともできる。だから飛行機の飛行シミュレーション、自動車の走行シミュレーションも可能です。

デジタルデータによるシミュレーションは自動車業界以外にも、数多くの業界で使われています。たとえば消費財メーカーのP&Gは、シャンプー容器の形状を決定するために使っています。どのような形状であれば消費者が一度手に取ったものを元の棚に戻さずに買い物カゴに入れるかを、検証しているのです。

一方で、エネルギー業界は、少し異なる課題を持っています。原子力、水力などは安全性が最優先課題であり、中国ではダム建設の際の安全性やコストをシミュレーションするために、当社のシステムを使用しています。大手電力会社のひとつであるフランス電力も、原子力発電所の内部でメンテナンスをする前に、バーチャルな3D環境でトレーニングを行っています。

2次元の設計図では不十分

残念ながら福島第一原発で大きな災害が起きました。そうした災害の際に、2次元の設計図は役に立たない。3次元データであれば、事前に頭の中でシミュレーションできるだけでなく、作業員が共通の認識を持てる。しかし2次元の場合には現場に着いてから作業員同士が話をしながら作業する必要がある。一刻を争うような作業なのに、うまく進まない。

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