日米株価暴落の「Xデー」が現実になるとき 市場は憂慮すべき事態を織り込んでいない

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そもそも、このような状況で米国が大統領を選出せざるを得ないことこそ、すでに大きな問題である。たとえクリントン氏が大統領に選出された場合でも、FBIの捜査が続く可能性もある。

そうなれば、クリントン氏の大統領としての資質の問題が必ず取り上げられる。そのような事態に陥る可能性がある中で行われる選挙に、果たして正当性はあるのだろうか。極めて疑問である。

今回の米大統領選挙はどんな結果になっても、事態は沈静化しない可能性がある。つまり、きわめて憂慮すべき事態にあることを、市場は現時点でまだ全く織り込んでいないといえる。そのように考えると、選挙結果が出たあとの市場の反応が、どのようなものになるかは想像に難くない。

改めて今回の大統領選が実施されるまでのプロセスを振り返ると、米国そのものへの疑念が生じる事態にあるといえないだろうか。

米国株の割高感はもはや肯定できない

今回の選挙結果の影響が政治にとどまらず、金融にまで拡大する可能性があることは想像に難くない。筆者は年初から今年の米国株の調整リスクを指摘してきた。結果的に史上最高値を更新し、下落するどころか上昇基調が続いてきた。この見方は残念ながら全く誤りであったと言わざるを得ないのだが、本欄でも繰り返し指摘してきたように、主要企業による自社株買いと高配当による株価引き上げ策が背景であった。

その結果、米国株は歴史的な割高水準にまで上昇してしまい、高値を正当化できない水準にまで押し上げられてしまっている。しかし、もはや現在の株価の割高感を肯定できる状況ではなくなりつつある。

現状の株価を肯定するには、相当の企業業績の改善が必要だったが、7―9月期の業績ではそれは達成できなかった。「だからといって、株価が下落するということにはならない」との指摘もあろう。しかし、どのようなきっかけで株価の調整が起きるのかを注視していたが、そのトリガー(引き金)になり得る材料として、米大統領選の混乱が急浮上したことになる。そうであれば、米国株の本格的な株価調整はこれから起きることになり、本当のXデーは11月9日になるといえる。

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