AKBの自爆と、ももクロの戦略マーケティング グローバルエリートがももくろファンに転向?

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今後のアイドル市場のブランド・マネジメント

私はアイドル個人個人を崇拝するのではなく、そのアイドルは企業の広告業界の視点から見てどの顧客層をターゲットに、どんな差別化戦略を図っているのかに関心がある。

スターダストやAKBが、私にアイドルポートフォリオマネジメントのコンサルティングを依頼してくれたら、どうやってCDやグッズを売るかではなく、どのスポンサー企業、どの広告主をターゲットに、どんなコンセプトを持つアイドルを育成すべきかアドバイスをしたい。

ちなみに中国やロシアやレバノンのP&Gマーケティング部門経験者、各国のMBB(マッキンゼー、ベイン、ボストンコンサルティンググループ)出身者、また海外トップMBAのマーケティングの教授とグローバルチームを作って本格的な支援を差し上げることが可能である。

私なら当然マス・マーケットで競争が激しく新しい広告を絶えず投下しなければならない(広告予算の豊富な)企業をターゲットし、広告主の業界の市場動向や広告主の商品戦略を踏まえた上で、戦略的なアイドルのブランドポートフォリオ構築を展開するだろう。また不備の多いアイドルの不祥事リスクマネジメントのインプリメンテーションに関してもお手伝いさせていただきたいのだが、いかがでしょうか。

なおももクロは大勢のメンバーによる入れ替え制でないため、“週末アイドル”“ひたむきに頑張る女の子”というコンセプトの賞味期限は短い。またひたむきに頑張る挑戦者がコンセプトなので、引退の年以外はAKBを抜かず2位でいた方が、結果的に長続きして儲かるだろう。そしてAKBとは単に競争するだけでなく、時には協調してアイドル市場のサイズ自体を大きくするのが双方の収益を増やすのだ。

ももクロはメンバーが全員18歳を超えつつある今がまさに稼ぎ時なわけだが(皆20歳ぐらいになればコンセプトと激しい動きを維持できないため)、メンバーをひたすら入れ替え て長々と市場に残り晩節を汚した某アイドルグループとは異なり、一代だけで桃色のクロ―バーは散るのだ、という桜のような儚さが、また日本市場にはフィットするのかもしれない。ももクロのメンバーの皆さんの長年の下積み生活の果実を刈り取り、今年、来年と存分に光り輝かれることを私は心より応援している。

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