「終身雇用」崩壊間際!日本人はどう生きるか リンダ・グラットン氏からのアドバイスは?

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100年ライフでは多くの人がおカネの心配をしますが、もうひとつ大切なことをお話ししておきましょう。不動産やおカネといった「有形資産」があれば引退生活をそれなりに送ることができますが、長く働き続けるためには「無形資産」が重要です。

皆さんは十分な時間を割いて自分の知識やスキルを磨いているでしょうか。あなた個人の「評判」はどんなものでしょうか。仲間との関係構築に取り組んできたでしょうか。「無形資産」のうちのひとつは、こうした自分自身の「生産性」です。

2つ目は、食事や運動だけでなく、バランスのとれた生活を送ることで得られる「活力資産」です。十分な睡眠をとらなければアルツハイマーになりやすいという研究もあります。日本の長時間労働は、一人ひとりの長期的な健康をリスクにさらしていると言えるかもしれません。また日本人でも長寿の人は、地域の中で友人関係を築いています。「有形資産」は買うことができますが、「無形資産」は売買できないのです。

3つ目は「変身資産」です。今後、終身雇用の制度は崩れていくでしょう。すると新たにキャリアを構築し、自分に変革をもたらさなくてはなりません。変身が上手な人は、自分のことをよく理解しています。また年齢や性別、職業を問わない、多様なネットワークを持っています。

家族、企業、政府…それぞれのあり方も変わる

これから先、家族のあり方も変わっていくでしょう。とりわけ日本は女性の労働参加率が低いのですが、男性の皆さんはこれから先、夫婦2人が100歳まで生きるとして、ひとりの力で家族を金銭的に支えていけるでしょうか。100年ライフにおいては、皆が社会の一員として生産的でなくてはなりません。

企業や政府も、こうした社会の変化に対応していく必要があるでしょう。今後は女性がより上位の職に就くことも考えられます。小規模ビジネスやフリーランスも増えてくるでしょう。

仕事と年齢の分離も始まってくると思います。今までは年齢を聞けばだいたいのポジションがわかりましたが、今後はいろいろな年齢の人が就職や離職をするようになります。企業はこうした発想の転換を受け入れていかなくてはなりません。

政府もまた、従来の3つのステージではない人生設計に対応していかなくてはなりません。生涯有資格の公的給付金を考えるのもひとつでしょう。老人のニーズだけでなく、これからの長寿時代を生きる若者が直面する問題についても考えていく必要があります。

いずれにせよ、今はさまざまな試みの時期に差し掛かっています。長い人生をどう生きるか、私たち一人ひとりが考えていかなくてはならないのです。

東洋経済新報社 出版局
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