トヨタ「プリウス」、米国生産の可能性 担当役員が語った北米事業の展望

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トヨタの北米本部長、ジム・レンツ専務

新興国と比較した場合の米国市場の将来性については、「米国は先進国の中でも潜在成長力が高く、人口は2050年までにあと8000万人増える。しかも、今後人口が伸びそうなアジア系やヒスパニック系などの間でトヨタはナンバーワンのブランドだ。成長セグメントとしてはよいポジションにいる」と自信を見せた。

トヨタの米国事業といえば、2009年に大規模なリコールにより、大きな問題になったことが記憶に新しい。「ロイヤルカスタマー(上得意客)との関係についてはリコール前の水準に戻った」という。ディーラー陣の奮闘に加えて「チーフ・クオリティ・オフィサー、リージョナル・セーフティ・オフィサーといった役職を置き、顧客の要望に迅速に対処する体制が整った」ためだという。上得意以外の顧客については、「以前の水準にはまだ戻っていないものの、製品力の向上により回復のスピードは速まっている」ようだ。

「トヨタ車はエモーショナルな部分が弱い」

一方で、トヨタ車の課題については、「品質、信頼性、安全といった部分には絶対の自信がある」と前置きした上で、「スタイルや内装、ファントゥドライブ(運転する楽しさ)といったエモーショナルな部分が弱い」と指摘した。ただ、「この部分は今後急速に改善していく」と言い切った。

トヨタは今年度から地域本部を再編し、国内、北米、欧州、アフリカなど8つの地域本部体制にあらためた。北米を担当するレンツ氏をはじめ、欧州、アフリカ、中南米の4つの地域本部で日本人以外が本部長に就任した。「今までは縦割り型の組織だったが、再編によって“ワン・ボイス”で迅速で行動できるようになった」と、レンツ氏は効果を語る。従来以上に自律的に動けるようになった各地域が、今後どのように成長を遂げるか、要注目だ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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