トヨタ「プリウス」、米国生産の可能性 担当役員が語った北米事業の展望

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日本で大人気のプリウスは北米でも販売好調だ(写真は日本仕様、撮影:今井 康一)

トヨタ自動車の北米本部長、ジム・レンツ専務は6月12日、名古屋市内で会見し、一部で取りざたされているハイブリッド車(HV)「プリウス」の米国生産について、「新たに設備投資をしてまで米国でプリウスを生産する必要は今のところない」と、現時点では可能性が低いとの見解を示した。

レンツ専務は「現地生産とは組み立てるだけではなく、部品も米国内で調達する必要があり、多くのハードルがある」と説明。一方で「将来、販売が伸びたら現地生産の希望を出したい」とも述べた。

現地生産比率は75%程度が適切

トヨタの北米事業は、売上高の約3割を占め、国内に次いで重要な地域である。昨年の米国市場全体の自動車販売台数は1470万台。「今年は当初1500万台を予想していたが、足元の状況はよく、1530万台ペースで進んでいる」とレンツ氏は言う。その中でトヨタは前期比5.7%増の220万台の販売を目標としているという。そのうち「プリウス」は25万台、高級車「レクサス」は26万台を販売する計画だ。

米国の現地生産比率は現在7割程度。2015年に予定されている「レクサス ES」の現地生産が始まると、現地生産比率は75%程度に高まる。9割超のホンダほど高くはないものの、「現在の販売ラインナップから考えると、75%程度が適切」(レンツ専務)というのがトヨタの戦略だ。

中長期的な見通しについて、レンツ専務は「今後数年はいい状態が続く」見る。「アメリカ経済は回復期に入った。株式市場は強い。住宅市場は底入れし上昇基調にある。現在の平均的な自動車所有年数は11年に達しているので買い替え需要も期待できる」というのが理由だ。

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