外国人が日本株を「買い続ける」ための条件 トランプリスク再燃気配で目先は不透明に

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個人投資家からすると地味な印象があるかもしれないが、パッシブ運用などを手がける機関投資家は、実は日経平均よりもTOPIXを重視する。
TOPIXとは、東証1部の全銘柄を対象にした株価指数であり、1968年(昭和43年)の1月4日の時価総額を100として指数化したものである。

そのTOPIXの先物であるTOPIX先物は28日まで11連騰しており、売買枚数も225先物を上回る日が多い。投資部門別売買動向をより細分化すると、10月第1週から3週にかけては

■先物
225先物(ラージ+ミニ)・・・・ 6669億円
TOPIX先物(ラージ+ミニ)・・・3259億円

となっている。ちなみに日銀によるETF買入れの配分がTOPIX重視型に変化したのは10月からで、初めてETF買入れが実施されたのは14日。この日からTOPIX先物は負け知らずとなっているわけだ。偶然かもしれないが、日銀はこの11連騰中、3回ETF買入れを実施していることから、思惑的な買いも指数押し上げにつながったと考える。

さて、筆者が注目するTOPIXの注目水準は1412ポイントだ(10月31日は1393.02)。つまり、2月安値の1193ポイントと6月安値1192ポイントのネックラインである4月高値1412ポイントを上抜けられるか、これも今後の大きなポイントとなりそうだ。

なお、10月1日号で紹介した暴落のサインである「ヒンデンブルグ・オーメン」はまだ点灯していないが、引き続き微妙な状況と言えよう。NYダウは50日移動平均線とほぼ同じ水準で推移しているほか、NY市場の新高値、新安値銘柄数は(2.13%と2.13%)ラインと言われている2.2%に接近(10月28日現在)。現状は、いつ売りサインが点灯してもおかしくない。

「トランプ・リスク」が炸裂した場合はどうなるか?

前週末の米国市場では、クリントン氏のメール問題でFBI(連邦捜査局)が調査を再開と伝わったことから金価格が上昇した。また、「トランプ・リスク」への感応度が最も高いであろうメキシコ・ドルは売りで反応している。

もし、11月8日の米大統領選挙で「トランプ・リスク」が炸裂すれば、「ヒンデンブルグ・オーメン」のサイン点灯を気にするような地合いではなくなるだろう。米大統領選挙まで後10日を切ってきた段階で、調査を再開したFBIの動向が最大の焦点となるが、「クリントン大統領」を織り込んでいた市場にとっては嫌なニュースだ。今後の日本株は、上記で紹介したネックライン(日経平均1万7613円、TOPIX1412ポイント)で跳ね返され、反落することも考えておきたい。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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