小泉進次郎の言葉は、なぜ人を引き付けるのか 何気ないやりとりに潜む、超高度なテクニック

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十分に準備している進次郎氏

(産経記者)--政治の山の頂点は首相、それを目指す思いは…

(進次郎氏)「今日たぶんね、何となく予感しましたよ(※9)、そういう方向性のボールが来るんじゃないかなと思いましたけど(※10)。今、青年局長という僕にとってのエベレストの登頂(の途上に)にいますから(※11)、しっかりとその山をみんなで、チームいろいろで登っているわけだから。これからどうやってこの成功をね、青年局がこれだけ多くの方に知っていただけてるという状況を、日本の若い人への希望につなげていけるか(※12)」

※9では、世間で話題になっているニュースをつねにチェックし、しっかりコメントできるように十分に準備しています。※10では、野球という自分の特技を随所でアピールすることを忘れていません。※11では、首相が頂点という振りに対して、自分にとっては青年局長が頂点だと言うことで、謙虚さを貫いています。
※12では、ここでも、あくまで自分のことではなく、国民のことに結び付けています。

「まさに政治の世界は、エベレストの登頂と同じように、一瞬の気の緩みとか、何か一瞬の偶発的な出来事で足を取られかねない(※13)。そういう世界ですから、緊張感をもって長い道のりを。まあ、徳川家康が昔、人生とは重き荷を背負って道を歩くようなものだ(『人の一生は、重き荷を負うて遠き道をゆくがごとし』)、みたいなことを言っていたと思うが(※14)、そういった思いで、継続的に被災地支援をがんばっていきたい(※15)」

※13では、山の頂点を首相に結び付けて、「進次郎氏、三浦雄一郎氏のエベレスト登頂を受け、政界での登頂(首相)を目指すことを宣言!」というニュースが欲しいメディアからの振りをかわすのみならず、一瞬の気の緩みが命取りになるという点でエベレスト登頂と政治を結び付け、暗に橋下市長を思い起こさせ、それと自分は違うということをアピールするという、超一流の技が使われています。

※14では、歴史上の人物の名言を引用し、知的なイメージを与えることは、演説の王道です。また※15では、ここで被災地支援の話を持ち出すことは唐突感がありますが、政局に惑わされず、ただ国家と国民のためだけに行動しているという政治家像を示すことができています。

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