ドワンゴ「N高校」が東大も医学部も狙う理由 IT・サブカル人材育成だけじゃない!

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また、保護者に同校の本気度を伝える意味合いもあるようだ。生徒から入学したいという応募は多数あるが、ネット高校ゆえに、保護者に反対されるケースも少なくない。そうした保護者に対して「東大を目指す生徒にも対応できますよ、と言える。それを証明したい」と、川上社長は明かす。

授業料は、医学部向けコースで年間71万円(週1日通学の場合)から最大で年間393万円。一方、東大受験のN塾は年間72万円(受講料+寮費)。いずれもN高校の学費(国の就学支援金が支給される場合、3年間通って30万円弱)は別途必要だ。

ちなみに、医学部大学入試研究所のまとめでは、医学部受験の予備校にかかる費用は、大手予備校で年間100万円以下、より細かなサポートを受けられる医系専門予備校や個別指導で年間300万~600万円が相場とされている。医学部向けコースの料金は、平均的な水準と言えそうだ。

生徒7000~8000人で黒字になる?

リアルと連携した取り組みに本腰を入れるN高校だが、ビジネスとして成り立たせるには、まだ時間がかかりそうだ。川上社長は以前、東洋経済のインタビューに「損益分岐点は(生徒数)1万~2万人の間。十分に行けるし、7000~8000人でも回すことができるかもしれない」と感触を語っている。豊富な課外活動の魅力を打ち出しつつ、ベースである通信制高校の生徒数を底上げしていくことが必要になる。

N高校の理事を務めるカドカワ川上社長は、教育におけるネット活用の必要性を強調している

「教育全体において、IT・ネットの活用は不十分。そこで、ネット活用を中心に据えた、新しい教育をするのがN高校。範囲は色々あり、どの分野でも一流の教育を提供したい。その手段も、ネットだけのものと、リアルと併用してより効果を高めるものなど、幅広く考えている」。川上社長はそう熱を込める。

来年3月、N高校は初の卒業生を輩出することになる。新たな形の「進学校」として認知が広がるかどうか、初年度の合格実績が最初のターニングポイントとなりそうだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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