「WOWOWドラマ」は地上波放送と何が違うのか 他の民放ではありえない作品を次々と映像化

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WOWOWでは、高級車を表現するのにベンツを使える。自動車事故による殺人も起こせる。地上波ではすべて撮影用に用意する自動販売機も、缶コーヒーも、ビールも、本物を使ったリアルな表現ができた。

WOWOW25周年ドラマ第2弾の「コールドケース~真実の扉~」は岡野プロデューサーが手掛けた作品。海外で人気のある刑事ドラマの日本版だ©WOWOW/Warner Bros. Intl TV Production

岡野プロデューサーは係争中の事件を映像化したこともある。「なぜ君は絶望と闘えたのか」(2010年、2夜連続放送)は、山口県光市母子殺害事件をテーマにした作品だ。

原作は民放との争奪戦だったという。係争中の案件の場合、民放は結審後に放送するのが普通だ。だが、結審を待たず、今すぐ映像化したいと懇願したのはWOWOWだけだった。こうした熱意が通じ、原作者の許可を得ることができたという。

タブーを気にすることなく、リアリティを重視した作品作りが認められ、役者の間でも評判は徐々に広がっていった。ドラマを始めた当初はキャスティングにも苦労したというが、今では「WOWOWドラマに出たい」という役者の声は着実に広がっているという。

ネット配信サービスも競合になる

WOWOWは今後、どんなドラマを目指すのか。「地上波では絶対にできないもので、ネット配信にも負けない、長期で見られる作品を作りたい」(青木プロデューサー)、「NHKの朝ドラのように、登場人物に会いたいと思って見てもらえる、目玉キャラクターを生み出したい」(岡野プロデューサー)。

青木プロデューサーが語るように、近年、米ネットフリックス、米アマゾンなど、海外の有料動画配信サービスが次々と日本に上陸し、独自ドラマの制作に力を入れている。地上波のような制限はなく、自由に制作できるのが強みだ。WOWOWは一部の作品を動画サービスに提供しており、協力関係はあるものの、ライバルでもある。

WOWOWは日本市場で先行する優位性を生かし、ネット配信時代でも存在感を発揮できるだろうか。そのためには、スポーツや音楽など、強力なコンテンツでユーザー獲得を進めることはもちろん、独自ドラマによる差別化も、これまで以上に重要になってきたと言えるだろう。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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