「WOWOWドラマ」は地上波放送と何が違うのか 他の民放ではありえない作品を次々と映像化

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業界内で定評があるのは社会派のヒューマンドラマだ。ドラマ制作部には現在9人のプロデューサーがおり、それぞれ数作ずつ同時並行で制作を進めている。根本にあるのは、オリジナルでも原作でも、ストーリーを重視して制作すること。キャストが先行した企画案が出されることはほぼないという。

沈まぬ太陽には、過去にWOWOW出演経験のある、実力派の俳優が勢ぞろいした

2016年、開局25周年の特別企画として送り出したドラマが「沈まぬ太陽」。同局の集大成と言える作品だ。

山崎豊子氏の原作は日本航空をモデルとして、労使の溝や内部の腐敗、御巣鷹山墜落事故などを盛り込んだ作品。書籍は空前のベストセラーとなったが、特定の企業の暗部を浮き彫りにした内容だ。スポンサーに配慮せざるを得ない民放では、とても映像化できる作品ではなかった。

だが、WOWOWにとってはこうした、地上波では扱いにくいテーマこそ狙い目だ。「25周年の企画として、これを超えるものはない」。担当の青木泰憲プロデューサーは、放送の2年以上前から並々ならぬ熱意で提案していた。地上波では絶対に実現できない企画で見応えがあり、かつユーザーに長期間見てもらえる長編ドラマを作りたい。そんな思いがあった。

過去最長作品は、利用率も過去最高に

当然、大作になるほど放送は長期に渡る。人気が出なければほかの番組の足を引っ張る恐れもある。編成との協議は簡単には進まなかった。

結局、沈まぬ太陽は全20話(放送は2016年5月~9月)と、同社史上最大のスケールで制作することが決まった。出演者も豪華なキャストがそろった。主演の上川隆也氏をはじめ、渡部篤郎氏、長塚京三氏など、過去にもWOWOWドラマの経験を持つ演技派、実力派が数多く出演している。

2014年1月から始めた脚本作りは実に1年10カ月を要し、撮影にも8カ月を費やした。既存の映画版よりもはるかに長く、複雑な人間模様を描いた同作品は、ユーザーからの反響も大きかった。WOWOWの視聴率に当たる「利用率」(録画も含む)は同社ドラマ史上最高値を記録したのだ。

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