サムスン「ギャラクシーS4」、日本攻略の成算 李英熙・副社長に聞く

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――新しいカテゴリーを作ることができた、と。

一度、好きになると普通のスマートフォンには戻れない、というエグジット現象と呼ばれる現象が起きています。ボリュームでみると圧倒的にスマートフォンのほうが大きいのですが、確たるカテゴリーができたと考えています。

ノートは実際に体験してもらうことが重要です。フランスでもノートは売れているのですが、「スタジオ」という名称で、実際に触れるようにしています。スタジオにはいろいろな形があります。パートナーの店舗における常設のショップ・イン・ショップもありますが、注力しているのは、人がたくさん集まる場所に臨時でつくることです。大きなショッピングセンターなどでやっていますし、ロンドンオリンピックでも会期中に大きな店舗を開設しました。

大手家電量販店に専用コーナーを設ける

李英熙●イ・ヨンヒ 1983年延世大学卒業(専攻は英文学、第二専攻はマスコミュニケーション)。89年にノースウェスタン大学ジャーナリズムスクールにて広告科学の修士号取得。ユニリーバ、ロレアルなど消費財企業で19年のキャリアを積んだ後、2007年7月に無線事業マーケティング部門の責任者としてサムスンに入社。2012年に副社長へ昇格した。

――今回のS4のマーケティングでは、体験を重視する計画ですね。

ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機などでギャラクシーコーナーを設けてもらいます。体験中心としての先進事例は米国でのベスト・バイとの提携です。全米の1400店でショップ・イン・ショップを大きく構えています。アップルが自社店舗で展開しているのに対し、サムスンはパートナーと協業しています。

ただし、ショップ・イン・ショップは量販店に限られます。通信キャリアのショップでは、サムスンの端末だけを特別に扱うわけにはいかないため、並べて展示せざるをえない。そうなると、たくさんある端末の中に埋もれてしまい、どの端末も似たり寄ったりだと思われてしまう可能性があります。そこで、画面上にデモが流れるようにライブデモを表示するようにしました。こうしたプロモーションにも多額の投資をしています。

――今回、S4を扱うのはドコモのみです。ドコモとの提携は非常に緊密になりましたが、世界的にみてこうした提携はありますか。

ほかの国でもさまざまな事例があります。その国ごとに違うのですが、基本的にはパートナーとウィン-ウィンの関係を築くことにあります。パートナーの要望に応じてフレキシブルに対応するという姿勢はサムスンのDNAに刻まれています。4月末までに世界60カ国で主要キャリアが同時発売したことは、そのパートナーシップの強さを示すものだと思います。

最大市場である米国ではAT&T、Tモバイル、スプリント・ネクステルが4月下旬に発売しており、少し先になりますが、ベライゾンも扱います。キャリア同士は激しくシェア争いしており、プライドも高いため、あまり同じ機種を同時に発売することはない。しかし、サムスンの端末に関しては行っています。

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