ハンガリーが中国人の移住を歓迎するワケ

難民には有刺鉄線、中国富裕層は歓迎

他のいくつかのEU加盟国も同様のプログラムを運営しているが、ハンガリーはほとんどの国よりも安く、すぐに居住権を提供している。

公式統計によれば、このようなプログラムに応募する裕福な外国人の圧倒的多数が中国人で、彼らはレッドカーペットの上を歩くように大歓迎を受けている。一方、全く対照的なのが、過去1年に欧州へ逃れてきた何十万人もの難民だ。その大半はシリア、イラク、アフガニスタンからやって来た人たちで、彼らはオルバン首相から繰り返し非難を浴びている。

オルバン首相は、ほとんどがイスラム教徒であるこうした難民は、欧州の安全保障とキリスト教社会に脅威を与えると主張する。

オルバン首相の働きかけが功を奏し、EUが提案する難民受け入れ分担をめぐる2日の国民投票は、反対98%で否決された。投票率は40%と、国民投票の成立に必要な50%に届かず無効となったが、首相は難民受け入れに反対する姿勢を崩してはいない。

「自分たちは難民ではない」

前述のYanさんは、ハンガリーから閉め出されている難民と、自分のような債券購入者を比較することを拒んだ。

「中国からの移民は全く異なる立場にある。中国で貯金し、財をなしてきた。故に期待を抱いている」とYanさん。「ハンガリーの政府も社会も、その違いを見失っているようには思えない。ネガティブなことは何も起きていない」

中国人の債券購入者の多くは起業の経験があり、新たな投資機会を求めている。

Yanさんも、ハンガリー国内外で投資する方法を同国に新たにやって来た人たちにアドバイスする会社を共同で設立した。

「ハンガリーの技術や良いソリューションを中国に輸出したい」と、YanさんのビジネスパートナーであるZhang Jinjunさんは話す。新たにやって来た人たちは、ハンガリーと世界第2位の経済大国である中国との商業的つながりを活性化したという。

「20年ここにいる。これまで私たちは衣服や靴といった従来のビジネスに深く関わってきたが、新たにやって来る人たちはアイデアが斬新だ。資金もまだ生かされていない」

ある晴れた日、Yanさんはハンガリーに来て間もないカップル2組を、ブダペストのドナウ川近くのロフトに案内した。この辺りは、中国人が経営する企業が、投資機会を検討するためにオフィスを構えている地域だ。

大都市の広東省広州でオーディオシステムを売っていたが、2月にハンガリーにやって来たというWang Minjunさんは、今後のビジネスの見通しは明るいと考えている。

「ハンガリーのマーケットを知れば、(ステレオを売って)やっていけると思う。それがうまくいかなくても、他の何かに投資する」とWangさんは語った。

(Marton Dunai記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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