ハンガリーが中国人の移住を歓迎するワケ 難民には有刺鉄線、中国富裕層は歓迎

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 10月5日、ハンガリーは難民を締め出しているが、同国に住むのにカネを支払えるほど裕福な外国人にはそっと門戸を開いている。写真は移住してきた中国人のYan Dingさん。ブダペストで9月撮影(2016年 ロイター/Laszlo Balogh)

[ブダペスト 5日 ロイター] - ハンガリーのオルバン首相は、難民に対する敵意を遠慮なく口にすることで知られ、国境に有刺鉄線を張りめぐらせて難民を締め出している。だが同時に、ハンガリーに住むのにカネを支払えるほど裕福な外国人にはそっと門戸を開いている。

2013年に始まったハンガリーへの移住希望者向け「居住者債券」プログラムは、欧州が提供するきれいな空気や教育機会、のんびりした生活ペースを楽しみたいと考える数多くの外国人、なかでも中国人富裕層を魅了している。中東での紛争から逃れてくる難民とは対照的に、こうした移民はとても歓迎されていると感じている。

ハンガリーに移住した中国人は約1万人

「これは成功したプログラムだ。国にカネを呼び込み、1ペニーも国外に出ていないのだから」と、オルバン首相は3日、議会で野党の質問に答えてこのように語った。

Yan Dingさんは2015年4月、妻と娘と共にハンガリーの首都ブダペストに到着した。同プログラムの下、ハンガリーに移住した中国人約1万人のうちの1人だ。

北京出身のYanさんは、両親から受け継いだ不動産を売却し、30万ユーロ(約3500万円)相当の政府保証債を購入。これにより、欧州連合(EU)加盟国であるハンガリーに家族と一緒に5年間住める権利を得た。

「自分のためではなく、もっぱら娘の教育のため、将来のために来た」と、Yanさんは通訳を通してロイターに語った。

Yanさんによると、娘のXue Erさんは現在、地元の学校に入学し、ハンガリー語も少し話せるようになった。先生ら学校側から温かい支援を受け、娘がなじむよう尽力を得たという。

「中国では経済が急速に発展しているが、汚染がひどく、都市も急成長しているため、子どもに受けさせたいような教育が得られない」とYanさんは言う。

中国の学校で娘を過熱した競争にさらしたくなかったとYanさん。競争激化は1クラスの生徒数が多いことが原因だと考えていた。ハンガリーでは通常、1クラスの人数は多くても25人で、これは中国の基準からすると非常に少ないという。

居住者債券プログラムの参加者は、債券購入資金のほか、申請手続きを行う機関に5万ユーロという高額な手数料を支払わなければならない。だが5年たてば債券は償還され、支払った30万ユーロを回収できる。そして、ハンガリーに滞在する権利はそのまま維持できるのだ。

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