韓国男子熱狂、「初恋ブーム」の火付け役 『建築学概論』イ・ヨンジュ監督に聞く

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――ただ一人の男性を一途に思い続けるソヨンのような女性は、男性からすると理想の女性のようにも思えますが、逆に女性からはどのような意見があったのでしょうか。

女性の感想を聞いてみたところ、「男性主人公がもどかしい」とか「男のファンタジーが描かれた映画」とか、そういった意見は確かにありました。

それとは別に、「初恋の相手が今でも僕のことを好きでいてくれるのかしら」とか、「あの人は私のことを覚えているのかしら」なんて意見もあった。実はこの映画が公開されてから、昔の彼氏や彼女に、何年かぶりに突然メールを送ってみる、ということが韓国ではやったのです。この映画のスタッフの中にも、昔の初恋の女性に連絡をとって再会し、よりを戻した人がいました。彼に「監督、ありがとう」と、感謝されましたよ(笑)。

『建築学概論』は日本の文化も参考にしている

――ストーリーは家を建てる話ですが、韓国にも、日本のように持ち家信仰は根強いのでしょうか?

日本とは正反対ですね。韓国は一軒家が高いために、全体的に(韓国では日本のマンションに相当する)アパートを購入するケースが多いのです。ソウルの人口密度は、東京に比べてもかなり高いので、家を持つのが難しい。そしてもうひとつの理由としては、教育熱の高さもあります。たとえば、いい塾があるという話を聞くと、みんなすぐにその近くに引っ越してしまうのです。そうなった場合、一軒家というものはとても非経済的なんですよ。そういった傾向は建築業界にいた者としては寂しいものがありますね。

昔は一軒家で暮らす人も多かったのですが、僕の世代あたりがアパートで育った最初の世代になるのです。とはいえ。個人的な希望としては、僕もいつかは庭付きの一軒家に住んでみたいですね。

――本作の大ヒットを受けて、ロケ地である済州島の「ソヨンの家」を、取り壊してしまったにもかかわらず、もう一度作り直したと聞いたのですが。

「ソヨンの家」は再建され、今年の3月に完成式典が行われました。今はカフェ兼映画の記念スポットとしてオープンしています。僕にとっては、映画の撮影時とまったく同じセットというわけではないですが、すみずみまでよくできていて、最高のハッピーエンドとなりました。済州島の新たな観光スポットになりそうです。

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