10年ぶり最高益でも笑えぬ三菱自の事情 海外は好調だが、国内は品質問題や販売不振は続く
3%を割る国内シェア
ただ、一度ブランド力を失ってしまった国内市場では深刻な販売不振が続く。昨年8月に発売した新小型車「ミラージュ」も泣かず飛ばずで、12年度の三菱自の国内販売シェアは2.8%と3年連続のマイナスとなり、国内メーカー最下位に沈んでいる。
13年初に販売を開始したアウトランダーPHEVも、電池の不具合問題が発覚した。「社内での期待が高い車種だっただけに残念としかいいようがない」と、三菱自幹部はがっくりと肩を落とす。アウトランダーPHEVなど問題の電池を搭載した車種はリコールする方針だ。
三菱自は、電池の検査ラインで検査員が誤って床に落としたことが不具合の原因とする調査結果を4月下旬に発表した。中尾龍吾常務取締役は「検査工程を自動化していれば防げたが、人為的ミスを誘発する仕組みだった」と悔やむ。
国内生産も厳しい状況が続いている。国内販売の低迷や円高による輸出向けの台数減少などで12年度の国内生産は前年比17%減の49万台弱となった。軽自動車などを生産する岡山県の水島製作所は稼働率が4割を切る水準まで低迷しており、生産実態に合わせて、14年1月から製造ラインを4本から2本に集約、効率化を図る。
今夏には日産自動車と共同開発した軽自動車を投入する。品ぞろえの不足にあえいできた三菱自にとって念願の新型車だが、昨年末以降の一連の不祥事によるブランドイメージの低下は計り知れない。ある三菱系販売店からは「期待がある反面、一連の問題がどこまで影響するのか、不安はぬぐえない」との声も聞こえる。
品質の信頼回復や国内再建への道のりは遠い。
(撮影:今 祥雄 =週刊東洋経済2013年5月11日)
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