配車のUberは「出前」でも革命を起こせるか 繁忙時には配達員の時給が2000円超!

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サービス開始後初めての週末、サービス圏内の恵比寿で、記者も実際にデリバリーを依頼してみた。アプリを開いてみると、近隣の飲食店が20軒以上表示された。その中からハンバーガーショップを選び、午後6時55分に3種類のバーガーを注文。すると「配達までのお時間 午後7時26分」と表示された。30分後である。

少々遅れたが、ハンバーガーは無事に到着

注文状況はつねに更新され、「店への依頼中」「食事の準備中」「配達中」などと随時表示される。配達中になると、配達員の位置情報が表示され、どれくらい近づいているかがわかる。気づけば配達予定時間は「7時31分」「7時37分」と後ずれし、最終的には7時40分過ぎに到着。注文から45分ほどが経過していた。ウーバーによれば世界の平均配達時間は34分なので、やや遅めだったようだ。

商品を届けた配達員は「アルバイト感覚で始めた」という大学生。ウーバーと提携するNTTドコモのバイクシェア(自転車のレンタルサービス)で借りた自転車に乗ってやってきた。

登録した理由を聞くと、「授業の合間など、空いた時間を有効活用できるし、自分次第でどんどん稼げる。ほかのバイトよりも魅力的」とのこと。この日は夕食時間帯で3時間ほどデリバリーを行っていたが、今回で5件目だという。「夕食の時間帯だと時給2000円が保証されている」とも話してくれた。

きっかけは”アイスクリーム”

そもそも、ウーバーがなぜデリバリーを手掛けるのか。前出のロッシ氏は「きっかけは実験的に行った”ウーバー・アイスクリーム”というキャンペーンだった」という。ウーバー・アイスクリームとは、毎年7月にウーバーの配車アプリでアイスクリームを注文できるという、ここ数年行っているキャンペーンだ。「(配車のプロモーションだったが)意外にも顧客が気に入ってくれた」(ロッシ氏)。ここからイーツのアイデアが生まれたという。

ウーバーイーツのロッシ氏は日本市場への期待を示した

ウーバーの強みは、配車アプリで培ってきた顧客とサービス提供者をマッチングするアルゴリズムだ。配車の場合は乗客とドライバーという2者、イーツの場合は消費者、配達員、飲食店の3者をつなぐ。

アプリ上でボタンをタップすると、瞬時に誰が商品を届けるかが決まる。これが肝だ。「過去4~5年、配車で学んだノウハウを生かすことで、このビジネスが可能になった」(ロッシ氏)。

ウーバーの配車事業は日本で思うように展開できておらず、都内で提携した会社のハイヤーやタクシーの配車にとどまっている。日本では自家用車による乗客の運送が法律で禁じられており、国の許可がないと有償で人を運べない。競合になりかねないタクシー業界などからの反発も強い。

しかし、ウーバーイーツは違う。登録配達員や飲食店の利用が増えていけば、日本国内の拡大余地は配車事業以上にあるといえる。「会社の基本方針は”ウーバー・エブリウエア(ウーバーをどこでも)”。なるべく早く、ほかの都市への展開を進めていきたい」(高橋氏)。ウーバーイーツの拡大によって、配車サービスも普及への突破口を開くことができるだろうか。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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