第2次安倍内閣は「安麻内閣」とか「トリプルA政権」と呼ばれる。「安麻」は首相と麻生副総理兼財務相、「トリプルA」は安倍、麻生、経済財政相の甘利の3氏を指す。
中でも現政権で麻生氏の存在が大きい。
「安麻」は年齢こそ14歳違いだが、似た者同士だ。ともに一度、首相を経験した。岸、吉田の両元首相の外孫で3代目の世襲政治家、エスカレーター進学で成蹊大と学習院大を卒業、民間企業の経験ありというのも共通項である。
自民党でそれぞれ岸・福田系の清和会、池田・大平系の宏池会の出身だが、2人とも大派閥の継承者ではない。政治家として同じ長所と弱点を抱いているという指摘も多い。
麻生氏は自民党の政権奪還、安倍首相返り咲きと軌を一にして復活を遂げた。昨秋の総裁選で安倍氏の背中を押して出馬を促し、逆転勝利に貢献したのが再浮上につながった。
首相の麻生起用の狙いは、第1に総裁選の論功行賞と党内統治、第2に「重厚・実力者内閣」の演出、第3はアベノミクスによる「3本の矢」のための役割分担と共同責任体制づくりだろう。
安倍首相は「3本の矢」の金融政策は自分、財政政策は麻生財務相、成長戦略は甘利経財相と、「トリプルA」で役割分担する形にした。力不足だから力を借りた面もあるが、責任を分担させて安倍政権支援の縛りをかけたと見ることもできる。
この体制から、安倍首相が金融政策こそ「3本の矢」の最優先テーマと考えていることが読み取れる。事実、日銀総裁人事や物価上昇目標の設定などは自ら強力に推し進めた。
問題は「安麻」の力学だ。いまは蜜月だが、今後、予算編成や消費税増税実施、国債管理政策などで首相と財務省の綱引きが問題になったとき、「安麻」の関係がどうなるか。総選挙後、自派を党内第3派閥の34人に拡大させた麻生氏は、72歳にもかかわらず、「自民党で2人目の返り咲き首相」に意欲的で、いまや「ポスト安倍」の一番手を自負しているという見方もある。
参院選後、早い時期に「蜜月」は「暗闘」に変わるかもしれない。
(撮影:尾形文繁)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら