われらが東大の学術研究講座に拠出する理由 民間最大級の研究基金、仏「アクサリサーチファンド」代表に聞く

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フランスに本拠を置く世界最大級の保険グループ・アクサが学術研究の振興のために、2008年に設立した研究基金「AXAリサーチファンド」は4月24日、東京大学大学院医学系研究科に5年間で総額125万ユーロ(約1億4000万円)を拠出。学術研究講座「健康と人間の安全保障(AXA)」(井上真奈美・特任教授)を開設したと発表した。同ファンドが日本人研究者への支援金額としては最大となる。
 同講座の特任教授に任命された井上氏は、国立がんセンター(現・国立がん研究センター)でがん予防・検診研究センター予防研究部室長などを務めた、高齢化に関わる領域で活躍する著名な研究者の一人。講座では日本人の長寿の要因を解明、主要なリスク要因の削減による疾病予防の可能性を研究する。AXAリサーチファンドは2008年設立以降、環境、人間の生活や社会に関わるリスクの理解と予防に取り組む研究を支援。支援先は27カ国367のプロジェクトに及び、研究者の国籍も49と多様。日本国内及び海外で活躍する日本人の研究者には、今回の支援も含めこれまで合計7プロジェクト、179万ユーロ(約2億3000万円)を拠出。来日した、ゴドフロワ・ボバァレ・AXAリサーチファンド代表に日本での研究支援活動などについて聞いた。

――今回の来日の目的は。

Godefroy Beauvallet 1994年 エコール・ポリテクニーク(Ecole Polytechnique)卒業 1997年 国立高等電気通信大学卒業。ジェムプラス社のITプロジェクト・マネージャー、欧州復興開発銀行(EBRD)のアソシエイトバンカーを経て、1997年にフランス産業省に入省。2000年から2002年までミシェル・サパン公務員・国家改革大臣のアドバイザーを務める。 2002年、国立高等電気通信大学の准教授兼チームマネージャーに就任。 2007年、フランスのIT専門工業経営学校6校で構成される「インスティテュート・テレコム」グループのCFO兼デピュティCEOに就任。プロジェクト・マネジメントおよびリーン・マネジメントにおけるデジタル・グループウェア・ツールに関して多くの学術論文や書籍を執筆する。 2011年から現職。2012年、デジタル技術に関するフランス国立評議会(French National Council on Digital Technologies (CNNum)のバイスプレジデントに就任(撮影:尾形 文繁)

まず、今回の東大での学術研究講座の開設発表会に出席し、東京大学との関係強化を目的としている。また、東大だけでなく、一橋、早稲田、慶応、広島大学、京都大学などを訪問、さらに日本での支援先を拡大したいと考えている。東大に続き、このような学術研究講座が、数年のうちに開設できることを期待している。

今回の東大の学術研究講座「健康と人間の安全保障(AXA)」は、AXAリサーチファンドがフォーカスしている3つの研究支援分野の中でも、特に重要で優先順位が高く、ファンドにふさわしいトピックだ。井上教授は人間がなぜ死亡するのかという、根本原因を研究している。

――研究支援の3つの分野とは何か。

アクサは保険会社として、リスクを予防し、リスクが現実に起こった時には、その影響から人々を守るために、過去から膨大な知見を集積している。しかし、激変する今日の社会では、過去の経験のみに基づいて未来を予測することは不可能。

そこで、AXAリサーチファンドは研究支援する際、フォーカスする3つの分野を掲げている。①気候変動や自然災害、火山活動、生態系の変化などに起因する環境リスクの分野、②高齢化や疾病、医療政策などに起因するライフリスクの分野、③ファイナンスや社会・政治などに起因する社会経済リスクの分野である。これらの分野に学術研究支援を行い、リスクの現状を理解し、こうした研究を社会に還元し、持続可能な社会の発展に貢献していきたいと考えている。

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