われらが東大の学術研究講座に拠出する理由 民間最大級の研究基金、仏「アクサリサーチファンド」代表に聞く
――今回の来日の目的は。
まず、今回の東大での学術研究講座の開設発表会に出席し、東京大学との関係強化を目的としている。また、東大だけでなく、一橋、早稲田、慶応、広島大学、京都大学などを訪問、さらに日本での支援先を拡大したいと考えている。東大に続き、このような学術研究講座が、数年のうちに開設できることを期待している。
今回の東大の学術研究講座「健康と人間の安全保障(AXA)」は、AXAリサーチファンドがフォーカスしている3つの研究支援分野の中でも、特に重要で優先順位が高く、ファンドにふさわしいトピックだ。井上教授は人間がなぜ死亡するのかという、根本原因を研究している。
――研究支援の3つの分野とは何か。
アクサは保険会社として、リスクを予防し、リスクが現実に起こった時には、その影響から人々を守るために、過去から膨大な知見を集積している。しかし、激変する今日の社会では、過去の経験のみに基づいて未来を予測することは不可能。
そこで、AXAリサーチファンドは研究支援する際、フォーカスする3つの分野を掲げている。①気候変動や自然災害、火山活動、生態系の変化などに起因する環境リスクの分野、②高齢化や疾病、医療政策などに起因するライフリスクの分野、③ファイナンスや社会・政治などに起因する社会経済リスクの分野である。これらの分野に学術研究支援を行い、リスクの現状を理解し、こうした研究を社会に還元し、持続可能な社会の発展に貢献していきたいと考えている。
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