カップヌードル「謎肉」、3日で売り切れの謎 「10倍量の味付け豚ミンチ」が人気沸騰

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この呼称をメーカーである日清食品も公式に使うようになったことで、話題性が高まった。具体的には、SNSの公式アカウントで、「なぞにく」と表示されたコーンビーフのような謎の缶詰の写真を投稿するなど、自ら話題を盛り上げてきた経緯がある。

日清食品はカップヌードルブランドにおいてビートたけし氏などをCMに起用し、「バカをやろう」というコンセプトの宣伝戦略を展開。2016年3月末から放映開始したCMを「炎上」によって1週間で放送中止したことが記憶に新しい。

しかしその後も、同じシリーズのCMを引き続き展開している。もともと思い切ったマーケティングが身上の会社。“謎肉”という、食品メーカーとしてはある意味、非常識かつ不名誉な名称を商品につけたのも、同社のアグレッシブな宣伝戦略の一環といえるだろう。

10月下旬をめどに販売を再開

広報担当者によると、販売計画では1カ月程度の発売期間内に十分な量を見込んでいたという。もちろん、発売前からSNSなどでは話題が沸騰していた。また、ステーキや焼き肉の店が大きな話題となるほか、“肉フェス”が国内各地で開催されるなど、ここ数年、巻き起こっている空前の肉ブームも後押ししただろう。話題が先行しすぎて、見込みが大きく狂ってしまったというのが、今回の顛末のようだ。

公式発表では、「今後は十分な供給体制を確立したうえで、10月下旬をめどに販売を再開」「皆様に多大なご迷惑をおかけします」との説明がなされている。なお、筆者からメーカーに取材を申し込んだところ「すでにご迷惑をおかけしているところ、面白おかしく取り上げられるのは、お客様に申し訳ない」として、断られてしまった。

「発売3日で売り切れ」という事実そのものがまた、ネット上では話題を呼ぶことになる。それも見越したうえで「同じことが起こらないよう注意する」とのことだ。そのため10月下旬の発売分に関しては、期間を明言していない。

実際、価格の数倍以上の高値がついて一部ネット通販等で販売されるなど、影響が広がっている。販売再開時には、十分な量を用意しなければ、混乱に拍車をかけることになりかねない。いずれにしろ、販売再開のタイミングには、この商品が、今一度、話題をさらうことは間違いない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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