1ドル100円突破の「Xデー」はいつか ディーラー歴20年の達人が読む為替

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特殊なオプションが大きく影響

もう一つ、99円台後半から100円にかけては大量の売りオーダーがあり、これがドル円の上昇を止めることになった。100円にはオプションバリアーがあり、このバリアーに絡む売りが相当な規模になっていた。ここでいうオプションとは、「ある価格である期日までドルを買ったり売ったりする権利の売買」をいう。このオプションが、いまの為替市場では大きな影響を与えている。

今回の100円阻止の原因となったバリアーというのは発生、失効条件のついた特殊なオプションのことをいう。このバリアーの手前では、上昇してくる相場を抑えるように大量の売りが出てくるが、抜ければ損切りとなり、100円を一気に抜けるエネルギーになった可能性もある。ただ、今回のケースでは、手前の売りが非常に大量だったために上昇が阻止されてしまったのだ。

しかしオプションバリアーに絡む売りは、下落した場合は買い戻されるために、バリアーの手前ではレンジ相場になるケースが多い。そして最後にはバリアーを粉砕して上抜けるケースが、少なくとも昨年11月以降のドルの上昇局面では続いてきたわけだ。当然このオプションバリアーの存在は市場に知れ渡っている。それゆえ、提灯を付ける売りが重なったことも100円阻止の原因になった。

さて、ここからの100円をめぐる攻防戦を占ってみよう。このところ5月の連休をはさんで、株安、債券高、円高のいわゆるリスクオフの流れとなったのが、10年~12年までの3年間の季節要因だ。5月はファンドの決算などもあり、需給的に売られやすいところに、5月はなぜか欧州債務危機に絡むネタが出てマーケットをリスクオフ(この言葉は死語になりつつありますが)の方向に向かわせた。

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