交易条件の悪化は深刻か

景気・経済観測(日本経済)

たとえば、戦後最長の景気回復期にあたる2002年から2007年にかけて企業収益は長期にわたって増加を続けたが、この間、交易条件は一貫して悪化していた。逆にリーマンショック後には交易条件は大幅に改善したが、企業収益は記録的な大幅減益となった。

企業収益と交易条件が逆方向に動くのは、交易条件が悪化している時には輸出を中心とした売上が数量ベースで増加し、交易条件悪化によるマイナス効果を打ち消すことが多いためと考えられる。交易条件の悪化と売上数量の増加が同時に起こるのは、交易条件の悪化は主として海外経済の回復に伴う国際商品市況の上昇、円安によって引き起こされるが、このことは同時に日本の輸出増加に寄与するためである。

逆に、交易条件の改善は海外経済の悪化、円高を伴うことが多いため、輸出の落ち込みによって結果的に企業収益は悪化してしまうことが多い。過去の唯一とも言える例外は原油価格(WTI)が一時、1バレル当たり150ドル近くまで高騰した2007~2008年にかけてである。この時は、国際商品市況が急上昇する一方、世界経済は減速局面に入っていたため輸出が伸び悩み、交易条件の悪化と企業収益の悪化が同時に進行した。

交易条件の変化と輸出への影響の両方を見る

このように、交易条件の変動が企業収益に与える影響を考える場合には、交易条件の変化をもたらしている要因とそれに伴う輸出への影響を合わせて見る必要がある。交易条件も企業収益も改善するという虫のよい話はないと考えておいたほうがよいだろう。現実的には、交易条件の悪化によるマイナスを輸出の増加がカバーすることによって企業収益全体としてはプラスになるというのが望ましい姿といえる。

ここまでは交易条件と企業収益の関係を見てきたが、こうした考え方は日本経済全体にも当てはまる。GDP統計では交易条件の変化(輸出デフレーターと輸入デフレーターの乖離)によって生じる実質所得(購買力)の変化を捉える「交易利得」が参考系列として公表されている。

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