マツダが劣勢の北米に投じる「CX-9」の実力

クチコミを意識した生き残り戦略とは?

北米マツダが位置するアーバインはロサンゼルスの南方に位置する。ここから地域でももっとも高級な邸宅が並ぶニューポートビーチを抜け、海岸線を抜けるルートでCX-9を走らせてみた。

米国人が好むアメリカンSUVの多くは、アクセルのオンオフに対する反応が穏やかで、ハンドリングも曲率の大きなカーブで安心感を感じる一方、車体を操るという意識は希薄だ。幅広く直線の多いフリーウェイで長距離の移動をすることが多い北米では、そうした乗り味が好まれるのだろうと考えていた。

欧州車についても、アメリカンSUVとは明確に異なるものの、やはりゆったりしたリズムの中で安定感のある走りを意識した車種が多いように思う。それが乗り心地や安定感、長距離での疲労軽減につながるという考えもあろう。

しかし一方で、CDセグメントのセダンに代わって北米市場の主戦場となっているコンパクトクラスSUVがそうであるように、より普通の乗用車に近い乗り味のSUVも増えてきた。アメリカンSUVの主要顧客は男性だったが、近年のSUV市場拡大は大塚氏が言うように「ミニバン以外のファミリーカー」として、女性が積極的に選択しているためだ。

「乗用車然」とした乗り心地

さて、こんな書き出しでインプレッションをお届けしているのは、CX-9が実に乗用車然とした乗り味を持っていたからだ。大柄なSUVの、まるで煉瓦かコンクリートブロックの塊を動かしているかのような重量感ではなく、大型セダンの落ち着きある振る舞いの中にも、車体の反応をステアリングはもちろん、体全体で感じながらドライブを愉しむ。

思いどおりに車を操っている感覚が、3列シートの5メートルを超えるCX-9でも味わうことができるのは、ちょっとした驚きだった。

しかし、そうした乗用車ライクなハンドリングが与えられつつも、CX-9の室内は実に平和でもある。ロードノイズ、風切り音ともに極めて低いレベルに抑えられている。最高級セダンのような高速域での静かさと、地上高が高いSUVの中でもロードノイズが抑えられ、路面の荒れたカリフォルニアの舗装路を平和に駆け抜けてくれる。

実はこうした高級セダンにも似た乗り味、ロードノイズだけでなく風切り音にまで配慮した極めて高い静粛性なども含め、CX-9は現在の北米市場を研究し尽くしたうえで、開発ターゲットを決め、実際の製品へと反映されたものだ。

しかし一方で、CX-9は上質な高級SUVとしての乗り味を実現しながらもアフォーダブル(手頃)な価格も実現している。その理由はスペック値にこだわらない、実用指向の商品企画にあるようだ。

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