なぜ「ギョーカイ美女」には未婚者が多いのか テレビ局勤務、2人の39歳女性に起きたこと
「まあ、よくあるのは芸人さんですよね。あの人たちは本当に早い。入社2カ月以内で芸人さんのアドレスが30人になったこともあります。今みたいにLINEがあるわけではないから、携帯のアドレスとか、番号とか聞かれて、すぐメッセージが届くみたいな」
悪い気がしないのは、聞くまでもなかった。
「関係を持ったのはひとりだけ。それ以外は、飲み会で知り合った若手俳優とか。とにかくひとりと知り合うと、すぐ合コン要員みたいな感じで声がかかるんで、あっという間に芸能人の友達ばっかりになりました。“あ、ギョーカイにいるんだあ”って感じたりして」
となると、仕事のほうはどうなるのだろう。
「言っちゃ悪いけど、テキトーでした。パッパッとこなせば、あとは男子の社員や上司が処理してくれるし。実は同期や先輩の女子にもそんなに嫌われてなかったんです。けっこういろんな男子を紹介したからだと思います。だから、本当にあの頃は楽しかった。戻りたい? はい、間違いなく戻りたい。戻って、過ちを犯さないように20代をまっとうしたいです(笑)」
同じ立場の「AD」からいじめられた
「はっきり言ってブスでしょ、あたし」
と開口一番言い放った、「雑草女」B子の新人時代は、A子では考えもつかない、それは壮絶というほかないものだった。
「制作に送り込まれたんで、仕事はADです。あのADです。これが大変で大変で。寝る時間がないっていうのは案外平気でした。だって体力あるし、部活の練習の過酷さも知っているから、それはなんとかなった。でも膨大な仕事を覚える、こなすのって、勝手がわからないから大変なんですよ」
さらに、人間関係が追い打ちをかける。
「ADはADでも制作会社のADの子もいるわけで、その子たちから見れば私はエリートなんです。制作会社のADは、悪く言うつもりはないけど、スレてる人が多かった。特に男のAD。ただでさえ過酷な仕事のわりに低賃金。局からは虐げられて、ディレクターからは怒鳴られ、はっきり言って彼らは奴隷ですよ。そんなところに、局のADとして私が入ってきたんです。そのうえブスでしょ。いじめられましたね」
B子の取材は、なかなか予約が取れないと評判の都内の高級中華料理店で行われた。大手芸能プロダクションの社長に連れられて来てから、懇意にしているという。苦い過去を振り返りながらB子は、あいさつに来た店の支配人と親しげに言葉を交わしていた。そんな中、過酷だった昔日の話をするのも隔世の感があろう。
「いじめられる理由? まあ局員であるこいつは、そのうちディレクターに昇格する。そうなったら、こっちの立場が下になる。そうなる前にやっつけてやる、ってとこかな」
心身ともに傷ついたのは想像にかたくない。