電通、デジタル広告で"不適切取引"の裏事情 顧客トヨタの指摘で発覚、広告の未掲出も

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デジタル広告はテレビや新聞のようにマス層に向けてアピールするものではないが、より広告を見てほしいユーザーに効率的に届けられるため、広告主のニーズは年々高まっている。「毎年2ケタ増のペースで売上高を伸ばしている」(電通・デジタルプラットフォームセンターの榑谷典洋局長)。

ただ、急成長しているだけに現場の負担は大きく、人員も十分ではなかったという。電通側は成果を出すことに対してプレッシャーがあったのではないかと説明したが、金額からして、現段階では特段、過大な請求をしたわけではなさそうだ。不正は今回の発表内容にとどまるのか。それとも氷山の一角なのか。背景について、さらに調査を進めていくとしている。

デジタル強化が裏目に出たのか?

デジタル分野は現在の電通にとって最重要の分野だ。国内では今年7月、デジタルマーケティングの専門会社「電通デジタル」を設立したばかり。ITコンサルやビックデータの活用、eコマースなどに力を入れてきた。海外でも、米国のデータマーケティング会社を買収するなど、年間400~500億円程度の枠を設け、デジタル関連の会社の買収を進めている。

会見では、「デジタル戦略を強化してきたことが、こうした不正につながったのではないか」との質問も出た。これに対し、中本副社長は「広告主のニーズに応えていく。きちんとした再発防止の対策を講じつつ、伸ばしていきたい」と語った。

9月からはデジタル広告の内容確認の業務について、独立性の高い部署に移すなどの措置を取っているというが、これまでのようにデジタル分野を伸ばすことができるのだろうか。明確だったはずの成長戦略に、自ら水を差してしまったようだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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