花王、「ヘルシアコーヒー」の僥倖 激戦のトクホ飲料市場、シェア奪回期す

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トクホ飲料市場では、03年のヘルシア緑茶発売を契機に徐々に商品数が増え、12年度の市場規模は約700億円にまで広がり、前年度から1割程度増えた。その中において花王ヘルシアは、シリーズ全体で売上高300億円(出荷ベース)の巨大ブランドである。

ヘルシアシリーズは前年割れ

だが、実はトクホ飲料市場が成長する中で、花王ヘルシアシリーズの12年度売り上げは、前年度を若干割り込んでいる。12年4月にキリンが発売した「メッツコーラ」をはじめ、トクホ市場にコーラという新ジャンルが登場。ヒットを飛ばしている。トクホコーラのヒットのあおりで、花王ヘルシアシリーズはトクホ飲料全体でみるとシェアを落としたワケだ。

このタイミングで、競合他社がまだ手をつけていない缶コーヒーのトクホ飲料である「ヘルシアコーヒー」を投入し、新たな需要の開拓に踏み出せたことは、花王にとってヘルシアシリーズのさらなる拡販と、トクホ飲料市場におけるシェア奪回に向けた狼煙となる。

缶コーヒーはお茶と並ぶ2大飲料の一つとされ、毎日のように飲むビジネスパーソンは少なくない。健康づくりに役立つコーヒーという位置づけで、新しい需要が開拓できそうだ。

肝いりの新製品だけに、花王がヘルシアコーヒーにかける期待は大きい。広告宣伝や販売促進には、さまざまな工夫を凝らしている。

まず、キャッチフレーズだ。「コーヒーは嗜好性が強い飲み物なので、健康成分であっても『なにかが添加されている』という印象を持たれると、受け入れてもらえない。そのため今回は『発見、誕生』という端的なワードを用い、コーヒー本来の力を引き出した製品だという点を押し出している」と、花王ヒューマンヘルスケア事業ユニットビバレッジグループの小出敏治ブランドマネージャーは解説する。

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