いいとこ取りの願い、悪いとこ取りのおそれ
2012年末総選挙の背景には、混合制度が持つ意図せざる効果があったと考えられる。並立制で一定の比例代表部分が存在するために、いわゆる「第三極」や、民主党から分裂したような政党は、小選挙区での勝機は薄くとも候補者を擁立し、選挙運動を通じて比例で一定の得票を確保することを期待した。結果、互いに票を食い合い、小選挙区での自民圧勝を手助けすることになってしまった。
一般に、小選挙区制の導入によって、二大政党化が進行するといわれ、実際その傾向は続いた。しかし、並立制が抱える比例代表部分は、政党が乱立状態に陥った際、分立を助長する。それが、小選挙区での極端に非比例的な結果にも繋がったのだ。
ある制度に欠ける要素を別の制度で補完する混合制度の発想は、確かに魅力的だ。しかし、日本のような、比例代表部分の魅力が大きい並立制では、小党が参入しようとするインセンティブが生まれ、小党分立と非比例性という二つの制度の悪いところが同時に出現することもある。
ひるがえって現実の選挙制度改革を考えれば、既存の政党間の妥協によって選挙制度が決定されるのは仕方のない側面もある。
しかし、妥協の結果で採用された混合制度が、その時点で存在する政党への配慮という意図を超えた効果を持つ可能性がある。混合制度の検討に当たっては、国内外の経験を踏まえた慎重な議論が前提とされるべきだろう。
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