32歳高年収女子は「恋愛偏差値」が低かった! 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<6>
私って、なんて可哀想な女なの…
先日は、同期の由香に圧倒的な「モテ」の差を見せつけられ、杏子は投げやりな気分になっていた。
元彼の知樹は、由香の毒牙にかかってしまったのだろうか。バツイチのゆるふわOL如きに男を奪われるなんて、やはり自分は本当にBランクの女なのだろうか。
鏡に映る寝起きの自分の顔を見つめる。直人には「ナルシスト」なんて言われたが、やはり自分の顔は、化粧をしていない状態でも、その辺の女より(少なくとも由香より)、ずっとずっと美しいと思う。よく旬の女優が、ラフな部屋着で伸びをしながらコーヒーを啜るような朝のCMがあるが、朝の杏子はちょうどそんな感じだ。
――こんなに可愛いのに、私って、なんて可哀想な女なの……。どうして、誰も私の良さに気づかないんだろう……。こんな風に、頭の中で独り言ちることも、直人には「高飛車」と言われるだろうか。
しかし、幸い、自分には収入はある。無理に嫌な思いをして結婚相手を探さなくても、少なくとも、将来への経済的不安はない。苦手な婚活に励むより、むしろ得意な仕事に精を入れて、さらに稼ぎを2倍3倍にするのもアリかも知れない。