32歳高年収女子、「暴走デート」の全内幕 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<3>
――明日ですが、11時に帝国ホテル1F『ランデブーラウンジ』にて、飯島様とのお席を予約しています。宜しくお願い致します――
明日は初めて、結婚相談所で紹介を受けた飯島という35歳の経営者と会う予定だ。彼は先日杏子が「会いたい」のオファーの中からYESの返事を出した男性で、前日に婚活アドバイザーの直人から詳細のメールが届いた。
結婚相談所のサービスは、予想をはるかに上回るほど徹底していた。場所も時間も直人が仕切ってくれ、杏子は言われた通りにそこへ向かうだけで良いというシステムだ。
ふだん杏子は、男性と二人で会うまでのやり取りが苦手だった。スムーズに日程が合わなかったり、相手のレスが遅いとイライラしてしまうからだ。その点、結婚相談所を介するデートは、ストレスやプレッシャーは一切ない。
最高のコンディションで35歳経営者との面談へ
当日の土曜の朝、杏子は期待でやたらと早く目が覚めた。一応、今日の面談もデートにカウントされるのだから、着飾るに越したことはないだろう。杏子は朝から自宅の神谷町付近をランニングし、半身浴で汗を流し、念入りに化粧や髪型を整えた。
服はイタリア製の、身体のラインを美しく見せてくれるベージュのスーツを選んだ。直人に暗い色はNGだと言われ新調したものだ。清楚さを意識して、ミキモトのパールのピアスを付ける。時計とバングルは、エルメスで揃えることにした。オールレザーのエルメスのガーデンパーティの持ち手には、スカーフをクルクルと巻く。最後に、ルブタンのベージュのハイヒールを合わせた。完璧だ。