世界の高速列車のトレンドに発生した"異変" 鉄道見本市「イノトランス」速報レポート

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ドイツ鉄道のICE4とシュタッドラーのEC250には共通点がある。最高時速を250キロメートル程度に抑えているという点だ。高速鉄道として走るためにはそれに合わせたインフラ強化が必要になり、多額の費用がかかる。つまり、時速250キロメートルに制限しているのは、スピードよりも既存のインフラを効率的に使う点を重視した発想といえる。

日立の高速列車も「中速」だった

日本では時速200キロメートル以上で走行する列車を新幹線と定義するが、国際的には高速鉄道を時速250キロメートル以上と定義している。その意味では最高時速250キロメートルのEC250は高速鉄道とはいえないかもしれない。しかし、イノトランスではEC250を「High Speed Train」として紹介している。欧州全体でこうした見方が増えてくれば、高速鉄道の定義がひょっとしたら変わるかもしれない。

日本では目立たない機関車もイノトランスでは主役の一角を占める(記者撮影)

最高時速を抑えた「中速鉄道」の登場は、前回のイノトランスで見られた異変の兆候が、いよいよ現実化したことの表れともいえる。日立製作所の英国向け高速鉄道車両「クラス800」も最高時速225キロメートル。まさにこの範疇に当てはまる。架線だけでなく床下に設置されたディーゼル発電機からも電力を得られるため、電化区間以外でも走行が可能であり、この技術が活かされる国は英国に以外にもありそうだ。クラス800をイノトランスの会場に展示すればPR効果は抜群なのだが、残念ながら英国から海を超えて運んでくるというわけにはいかなかったようだ。

日立をはじめとする日本勢は、実車の出展をしない代わりに、屋内展示で技術のアピールに努める。川崎重工業は、独自開発のカーボン台車「efウイング」を展示。JR東日本は傘下の総合車両製作所と組んでIT技術を駆使した新型山手線「E235系」を紹介する。

ドイツ交通協会のマーチン・ヘンケ・マネージング・ディレクターは、「今後の鉄道がより便利に、より効率的になるためには、ハイテク技術が重要なポイントとなる」と語る。ハイテク技術の塊ともいえるE235系にどの国が関心を示すかが注目点の一つだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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