大塚家具、ニトリ真向いガチンコ出店の狙い 千葉・船橋でイケアも加わり「家具戦争」勃発
現在は、超大型店舗(2万平方メートル)である有明本社ショールーム(2万4673平方メートル)と、大阪南港ショールーム(2万2242平方メートル)の2店を筆頭に、中大型店(2000~2万平方メートル未満)が11店、小型店(2000平方メートル未満)が4店ある。今回オープンの店舗と合わせて18店を展開する。
一方、今後はスクラップ&ビルドを積極化し、中小型での多店舗展開へ軸足を移していく。2~3年後のイメージは、超大型店2店、新標準店(3000~7000平方メートル)15~20店のほか、地方百貨店などとの提携を軸にした小型店(2000平方メートル)30店、リユース(再利用)等専門店を5~10店、出店していく方針だ。これによって、店舗数は60店以上と、現在の3倍以上に急増する。
要は店舗の脱大型化であり、展示は人気商品に絞っていく考えだ。たとえば南船橋店は、7万種以上の取扱商品の中から厳選した、1万アイテムを展示。すべてを展示できない分は、インターネット通販などの強化で補う考えである。オペレーションも合わせて変更する。南船橋の店舗では、受付や電算処理などの専門担当を廃止し、多機能化を推進する。新店オープン時には通常、中途採用で補う場合が多いが、南船橋の人員約50人は社内異動で対応した。これによって、ほぼ同じ売り場面積の立川ショールームとの比較で15%人員が少ない一方、立川ショールーム以上の売上高を見込んでいるという。
大塚勝久前社長時代の大型店経営から方針変更するのは、消費者の購買変化が大きいと見ているから。「従来は結婚や家を買うときにまとめ買いする需要を取り込み、超大型店の広域商圏で商売できたのが、現在は日常・単品買いの顧客ニーズが増えている」(大塚久美子社長)という。このニーズを取り込むために必要なのが、中小商圏での中小型店による多店舗化というわけだ。
リユース事業で市場は拡がるか
合わせてリユース事業も本格展開する。従来は下取りが中心だったが、今後は大塚家具で買った家具以外も対象に、全国規模で買い取る。買い取った家具は、職人が修理・加工・クリーニングをして、大塚家具の店舗で割安に販売する仕組み。これも日常・単品買いを促す戦略のひとつである。
大塚久美子社長は「今までだったら、家具を買ってダメになるまで、15年間保有していたとする。それがこのリユースの仕組みがあると、生活が変わるごとに、5年に1回家具を買い変えることができる。単純計算で市場が3倍になる計算だ」と語る。
2015年3月の株主総会で大塚久美子社長は、経営権を争った創業者で父の大塚勝久氏に勝利。社長に就任後は、勝久氏が作り上げたビジネスモデルと決別した。象徴的だった「会員制」も廃止。誰でも気軽に入れる店舗へと順次リニューアルし、顧客に必ず付き添っていた接客手法も変更した。さらに高級家具の売り場を縮小する一方、中価格帯を強化するなどカジュアル感を出すことで、間口を広げていった。
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