「米国横断4000kmレース」知られざる全貌

往年のフェアレディZで参戦してみた

このリライアビリティ・テスト、指定時間の±1秒以内に収まっていれば、誤差0の“エース”獲得となる。毎日のゴールで、オフィシャルがその日の成績表を手渡してくれるのだが、そのとき、“ユー・ゴット・エース!”と言われたときの喜びといったら!エースの称号として、ステッカーもドライバー用とナビ用に1枚ずつ渡される。これが、誇らしいの何のって!

日本で盛んなクラシックカーラリーの場合、レギュラリティ・テストが主流で、これは、たとえば“50mを5秒”という風に、比較的短距離での正確さを競う。自ずと、勝負は1/100秒単位になる。グレートレースのリライアビリティ・テストの場合、そこまでのシビアさはないけれども、短いものでも数km、長いときには100km近く走って、その平均速度の正確さを1秒単位で競うわけだから、達成感という点で、何ら変わらない。

つねに指定速度を守ってのラリー

9日間で約4000km。1日平均にすれば400〜500kmで、常に指定速度を守ってのラリー(それゆえ交通違反は絶対にない)、と聞くと、退屈なんじゃないか、と思われる方も多いが、そんなわけなので、ドライバーもナビも、短いランチタイム以外、一息つく間もなく、毎日がアッという間に終わっていく。

それでも、ロードスターに乗っていれば、雄大なアメリカの大自然をにわかに感じることくらいならできる。何10kmと続く直線の道や、雪なお残るシェラネバダの山々、ソルトレイクの真っ白な眺め、ララミー牧場、などなど、どこかでみたあの風景が、来る日も来る日も、眼前に立ち現れる。景色を楽しめるのは、いつも一瞬のことだけれども、その残像を噛み締めつつ、ルートブックに集中するという作業もまた、他では得難いドライブ経験というものだろう。

行く先々での歓待もまた、疲れた参加者たちにとって、最も効き目のある疲労回復剤だ。ランチタイムやゴール地点では、いつもちょっとしたモーターショーになり、地元の人々が老若男女集まってくる。われらがZロードスターは、オープンであることがことのほか珍しいらしく、どこへ行っても注目の的。そのたびに、つたない英語と身振りを駆使して、このクルマがオープンとなった経緯を話す。それがまた、楽しい。

日に日に、仲間が増えていく実感もまた、素晴らしかった。同じクルマ好き同志、その日1日の苦労を語り合い、愛車自慢に花を咲かせているうちに、知り合いの輪が広がっていく。競技の上手な戦い方を教えてくれるヴェテラン夫婦や、旨いレストランのありかを教えてくれる地元のカーガイ、そして何より、どんなことがあっても笑顔で対応してくれる優しいボランティアスタッフたち。

グレートレースの出場者は、みんながファミリィ。それが、基本コンセプトだ。途方もなく大きな国において、大好きなクラシックカーを通じ、大家族的な楽しみ方を経験することもまた、人生におけるひとつの大きな“学び”だとも思う。

来年も参加するつもりだ。申込みは、もちろん、済んでいる。

(文・写真:西川淳)

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