なぜ国際機関の経済予測は当たらないのか ビジネスで本当に使える「経済予測力」とは

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ワシントンDCに本部を置くIMF(写真:Alamy/アフロ)

私は大企業の役員・幹部の方々向けに講演をするときによく尋ねるのですが、彼らは口々に「原油価格の下落など予測できるわけがなかった」「こんなに円高になるとは思わなかった」と言います。

そんな彼らがさまざまな見通しで依存しているのが、国際機関やシンクタンクのあてにならない予測です。だから2016年のように、前年と打って変わって市場のトレンドが転換してしまうと、円相場や株価の予想は横並びで外れてしまう傾向が強いのです。

それでは、なぜ国際機関の経済予測は当たらないのでしょうか。

再三にわたって繰り返される下方修正

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IMFやOECD、世界銀行などの国際機関の予測では、相次いで上方修正や下方修正が繰り返されています。世界経済の拡大期には、時間の経過につれて上方修正される一方で、世界経済の不況期や低迷期には下方修正される傾向が強いという特徴があるといえるでしょう。

実際のところ、近年の国際機関の経済予測では、時間が経つごとに再三にわたって下方修正が行われています。たとえば、IMFは世界経済見通しのなかで、2016年の世界経済成長率については、2015年7月時点では3.8%としていましたが、2016年1月には3.4%へ、4月には3.2%へと引き下げ、7月にはさらに3.1%へと引き下げているのです。

IMFは米国の住宅バブル崩壊が始まろうとしていた矢先であっても、それをバブルと認識することがまったくできていませんでした。ですから、2007年4月の時点では、2008年の世界経済成長率を4.9%と予測していたばかりか、バブル崩壊の表面化(パリバ・ショック)が直前に迫っていた7月の時点でも、世界経済は引き続き好調に拡大するだろうとして、成長率を5.2%へと上方修正していたのです。

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