"奇跡の結婚"を呼び寄せる人の「行動原理」 40代後半「箱入り娘」が電撃婚するまで

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孝介さんの名前を書いて提出したが、美香さんのほうからメールを送ることはなかった。孝介さんを含む男性たちからアプローチもない。「こんなものなんだ」とあきらめていた頃、孝介さんからメールが来た。出会いナイトから2週間後のことだった。

そのメールの文面は「よかったら一度食事に行きましょう」と丁寧語での真面目なものだった。その後、デートを重ねても孝介さんのカタさはあまり変わらない。メールの文章は丁寧かつ簡潔。頻度も決して多くない。美香さんは好印象を受けた。

「電話やメールがまめだったりすると、逆に不安になります。遊んでいるんじゃないか、と。彼はまったくまめじゃないので安心しました」

外堀を埋める決断力を発揮する

夏休みは2人で3泊4日の国内旅行をすることになった。帰国後は実家暮らしをしていた美香さんは「両親に紹介する」ことを孝介さんに通告する。さすが箱入り娘。社会人である美香さんが誰と旅行しようが親には関係ないと筆者は感じてしまう。

もしかすると美香さんも同じ感覚だったかもしれないが、この機会を逃したらダラダラと付き合うことになると危機感を募らせていたのかもしれない。30歳以降のまともな男性の場合、恋人の両親にあいさつする=ほぼ婚約である。孝介さんも例外ではなかった。

美香さんはさらに外堀を埋めた。ワイン仲間たちに孝介さんを引き合わせたのだ。

「彼は私の友だちとも自然に話せちゃうんです。兄貴分たちにも大好評でした」

無邪気に喜ぶ美香さんであるが、孝介さんと兄貴分たちはそれぞれ気を遣ったはずだ。年齢を重ねると、恋愛や結婚のパートナーと同じぐらいの重さで大切な人間関係を持っている人は少なくない。そのコミュニティの主要人物が寛容で思慮深ければ、メンバーが選んだパートナーをできるだけ前向きに評価し、応援する。よほどのことがない限りは拒絶したりはしない。メンバーの幸せな生活設計にささやかでも貢献することによって、コミュニティが長続きすることを体験的に知っているからだ。

一方の孝介さんは、美香さんがワイン仲間を大事にしていることはわかっている。引き合わせられたら、このコミュニティの維持を邪魔しない存在であることをさりげなくアピールするのは当然だろう。

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