「アメトーーク!」、ロングヒットの秘訣 テレビ朝日の加地プロデューサーに聞く
――どうやれば、長続きできる?
飽きられないようにつねに新しいものを生み出す必要があります。僕の場合は、番組が高視聴率をマークしているときにあえて、失敗のリスクを取って新しいことにチャレンジしてます。調子がいいときは、気持ちに余裕があるからだ。余裕があるときに新しい演者を投入してみる、新しい企画を仕掛けます。失敗しても余裕があるから、失敗を教訓として生かすことができる。
「ロンドンハーツ」の例を挙げると、お笑い芸人、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんとチュートリアルの徳井義実さんを中心に「恋愛観を語る」企画をやったことがありました。火曜9時台に放送する「ロンドンハーツ」は通常、視聴率13%前後だが、恋愛観を語る企画は7%と急激に落ち込んだ。
この大失敗から学んだのは、ロンドンハーツという番組に視聴者が求めるのはドキュメンタリー性だということ。新鮮さを求めて、トークを中心にしたところ、視聴者が離れてしまった。「この後どうなるんだろう?」というドキドキ感や、芸人たちが言い争う姿にハラハラする企画が、ロンドンハーツという番組のフォーマットには適しているということがわかりました。この企画以降は、高視聴率をキープすることができています。
演者とスタッフ、何でも言い合えたほうがいい
――今、番組制作で力を入れていることは何でしょう?
人材の発掘です。10年ほど前、テレビ朝日は、人気の大物芸能人を数多く呼べる体制ではありませんでした。当時、まだ中堅クラスのお笑い芸人だった、さま~ず、雨上がり決死隊、くりぃむしちゅー、ネプチューン、土田晃之、劇団ひとり、タカアンドトシ、ロンドンブーツ1号2号などは、番組制作の現場で、演者としてスタッフとともに成長してきた経緯があります。
演者とスタッフが対等に何でも言い合える環境が、バラエティ番組の制作に好影響を与えていると思っています。そのため、10年後のテレビ朝日を牽引する高視聴率番組を作るには、若い人材を発掘して育てることが必要だと感じています。
具体的にいうとロンドンハーツでは、ドッキリを仕掛ける番組の企画で人気のお笑い芸人、狩野英孝さんやフルーツポンチ村上健志さんに続く「未来のドッキリ芸人を発掘」する企画をやった。アメトーーク!では、特定のお笑い芸人の面白さを「この芸人さんの面白いところはここですよ」と、視聴者にわかりやすく伝える、いわば「笑いの通訳」をするような企画を今後もやっていきたい。
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