ソニー「100万円ブラビア」は、何を狙うのか

平井一夫社長が語るエレキ事業の未来

――時計マニアの平井さんの視点で、イノベーションが起きつつある時計市場、そこでのソニーの取り組みについてどう自己評価していますか。

電子ペーパーを使った第2世代のファッションウォッチ“FES Watch U”のクラウドファンディングが始まったところです。ビットマップデータを用いた自由度の高いデザインを切り替えながら使える時計です。

一方でわれわれも取り組んでいるスマートウォッチに関しては、他社も含めて“大ヒット”と言える商品が出ていないと認識しています。機能やバッテリー持続時間、それに価格などバランスがまだ十分に消費者に響くものになっていないからでしょう。

FES Watch Uもそうですが、スマートウォッチではないけど普通の時計とは明らかに異なるという製品がいろいろ出てきています。われわれのwena wristなどはその一例ですね。そうした、時計に対するプラスαの付加価値という部分での可能性も大きく、そこに対しては取り組んでいますし、今後事業が大きく伸びていく可能性を秘めていると思います。

実際に人間の五感に触れるのは「デバイス」

――そうした意味では経営方針説明会で登場した“ラストワンインチ”というキーワードが今後のエレクトロニクス事業での核となってくるのでしょうか。

キーワードとしてはそのとおりですが、これまでもソニーの核だった部分です。さまざまなアプリケーション、コンテンツがクラウドへと向かい、その価値がデバイスからサービスへと遷移しました。その結果、手元で使うデバイスはなんでもよく、価格が安いほど望ましいからデバイスには事業的な価値がないと言われることがあります。

しかし、本当にそうなのか?というと、実際に人間の“五感”に触れるのはデバイスです。消費者が使っているのはデバイスなのですから、そこに差異化の可能性がたくさん残っています。と、こうして説明するのに数分かかってしまう。経営方針説明会を前にして、どうワンフレーズで説明しようかと考えているときに思いついたのが“ラストワンインチ”でした。

ソニーは伝統的にラストワンインチに強い会社です。感動とWOWを届けるには、すばらしい体験をもたらすラストワンインチが必要不可欠なのです。

――ブランド構築という面では、以前から力を入れてきたLife Space UX関連製品の欧州展開が始まりました。

電球型スピーカーや超単焦点プロジェクターなどを日本で先行発売し、海外はそれぞれの市場での反応を見ながら投入しています。社内の期待値を超える数が販売されているのですが、実はプロジェクターに関しては熊本の震災で生産が停止した部品などもあり、需要に応じきれず御迷惑もおかけしました。イギリスでもLife Space UX関連製品販売を開始しますが、機能性などの枠組みだけでは評価できない、

いわゆるソニーらしい製品を出していき、市場に受け入れられる体制が整ってきたとも言えます。SAP(ソニー・アクセラレーション・プログラム)から生まれた製品、ブランドなども含め、新しいソニーのブランド価値を見てもらえるようにします。

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