ソニー「100万円ブラビア」は、何を狙うのか 平井一夫社長が語るエレキ事業の未来

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――ソニーモバイルの黒字化が見えてきた理由は何でしょうか。Xperiaが得意な日本市場は、実質的なゼロ円販売禁止などもあり、安価な製品も求められるようになってきている。最上位モデル中心では今後厳しくなるのでないでしょうか。

おっしゃるようにXperiaは日本で高い評価を得て、高付加価値製品が売れている。しかし価格が低いところでは台数が出てもビジネスにはならない。高付加価値製品にフォーカスしていく方針は今度も同じだ。カメラの画質や撮像に関連した技術を徹底的に盛り込んで、Xperiaの価値を高めていく。スマートフォンの主要メーカーでカメラ事業を持っているのはソニーだけだ。この点は強みだととらえている。

シェアを獲得するビジネススタイルはやめた

平井 一夫(ひらい かずお)/1960年生まれ。ゲーム子会社で頭角を表し、2009年からはソニー本体の幹部を兼務。2012年4月にソニー社長兼CEOに就任した

収益の面では、たとえば新興国でも国ごとにXperiaのシェアが高い国に注力し、不得意な市場への投資を控えている。たとえば、中国は継続して事業に取り組んでいるが、赤字が出ない程度の規模に縮小することで黒字化した。

一方、競争が厳しいアメリカは、もちろん市場面でもブランド面でも重要ではあるが参入を控えている。かつては台数を増やし、シェアを獲得するビジネススタイルだったが、そうすると価格競争になり、中価格帯から低価格帯に手を出して赤字のリスクが高まる。このあたり、国ごとに事情は異なるのでメリハリをつけて取り組んでいる。日本、アジア、中近東は、こうしたオペレーションの最適化で利益を回復し、黒字化が見えてきた。

――ブレグジット(英国のEU離脱)はソニーグループの事業にインパクトがありましたか。

一時的な混乱はあったが、現時点で事業に悪い影響は出ていない。ポンド安の影響は今後大きくなると思われるため、引き続き注視していく。たとえばカメラなどは、英国市場での販売価格に影響が出るだろう。市場を見ながら対応をしていくが、ポンド安も一段落しはじめているため事業への影響は軽微だ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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