日経平均は1万7000円超で失速する懸念 9月第2週目に待ち受ける「ワナ」に注意

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CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)が算出しているFEDウォッチ(FF金利先物)でも、9月利上げを予想する割合は、雇用統計発表前後で24.0%から21.0%に低下している。一方、12月利上げを予想する割合は53.6%から54.2%とやや上昇(複数回の利上げ予想も含む)した。

こうした各市場の変化をまとめれば、こういうことになる。つまり、為替市場では9月利上げの可能性を残しているが、株式、債券市場では9月利上げの可能性は後退し、12月利上げの可能性が高まったと言えよう。

一貫性がなく方向感に乏しいなか、債券王ビル・グロース氏は「利上げは9月になるだろう。100%に近いと思う」「このような内容の雇用が決め手にならないのであれば、何が決め手になるのか確信がない」と述べている。ただ、上述した通り、債券市場では利上げを織り込むような動きはほとんど見られていない。

なぜ「9月利上げは見送り」と読むのか

筆者自身は、8月の米雇用統計の内容を受けて、9月の米利上げ実施はほぼ無くなったと考える。理由は、債券市場での2年物利回りの水準とFF金利先物の割合の低下だ。株式、為替市場は思惑が先行して、方向性がよくわからなくなっているものの、比較的冷静な債券市場は、利上げを織り込むような動きは観測されていない。

昨年12月に実施した水準をベンチマークと考えると、9月利上げとなれば相当のサプライズを市場(特に債券市場)に与えることとなる。日銀とは異なり、FRBは市場との対話を入念に行い、サプライズ回避に努めるフシがあることから、9月利上げは見送りが妥当か。米金利引き上げは「年内1回、12月」が市場コンセンサスであろう。

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