「抜け感」がオフィスの女性に支持される理由 5000円未満で訴えるファストファッション勢

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「抜け感女子」が急増しているのは、女性の社会進出が一段と加速したことが背景にある。IT企業を中心に、オフィスで着る服のカジュアル化が進行。その中で、より自然な美しさを表現したいという女性の願望と、「抜け感」がマッチした。おしゃれに時間とおカネをかけたくないという働く女性のニーズをうまく取り込み、低価格アパレルブランドも「抜け感」を意識した商品を増やしている。

たとえば、20代後半から30代の働く女性が中心顧客層のZARA。「オーバーサイズシャツ」(税込4990円)は、シーズン開始時点の想定販売量を上回り、再入荷するほど好調な売れ行きだ。特に、今年の流行色としてカーキが売れ筋という。

5000円未満といったプチプラ(プチ・プライス=低価格・安価の略)であっても安い服に見えないシャツは、手軽におしゃれを演出できると人気を博した。大人の印象を与える服が、5000円以内で買えるというコストパフォーマンスのよさも、「抜け感」ファッションが好評な一因だ。

秋冬物でも「抜け感」を継続して展開

「抜け感」秋冬コーディネートの一例(ユニクロ)

「抜け感」はあくまでも購入した女性たちの着こなしの一つではあるが、多様なファッションが職場で受け入れられるようになったことは大きい。ユニクロは、抜け感アイテムを、春夏物にとどまらず秋冬商品でも継続して展開する。「エクストラファインコットン オーバーサイズシャツ(長袖)」(税抜2990円)など、重ね着もできる大きめシャツの品ぞろえを増やしている。

「抜け感」には、コーディネートしやすいというメリットもある。アパレル・ファッションだけでなく、メイクやヘアスタイルでも自然な表現をすることで、トータルコーディネートとしての拡張性がある。

ファッションのトレンドは、時代とともに移り変わるが、女性のおしゃれをしたいという願望は尽きない。その願望に応え、「抜け感」ブームを一過性のものに終わらせず、定番商品として定着させることが、今後のファッション業界にとっての課題といえるだろう。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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