いまだ原因わからず B787問題の行方 原因調査が続く中、ボーイング社は改善案を発表
バッテリーの異常過熱問題により、1月から運航停止状態にある旅客機「ボーイング787」。日米航空当局による原因究明調査が続く中、運航再開に向けて事態が動き始めた。米ボーイング社が2月下旬、新バッテリーシステム採用による改善計画案を米国連邦航空局(FAA)へ提出し、3月12日にその承認を受けたからだ。
787型機は機器の小型・軽量化のため、旅客機として初めてバッテリーにリチウムイオン電池を採用した。しかし、エネルギー密度の高い同電池は過熱しやすく、大型化すればするほど制御が難しくなる。そうした電池の性質が一連のトラブルに関係している可能性が高い。
ボーイングは改善策として、バッテリーの設計を従来から変更。引き続きGSユアサ製のリチウムイオン電池を使用しつつ、大型電池を構成する各セルに絶縁テープを巻き、セル間の間仕切りなどに用いる絶縁体の性能も強化。また、新たな格納・排気システムを取り入れ、バッテリーを入れる容器内は出火しないよう無酸素状態とし、仮に出火した場合でも熱などを機外へ排出する。充電器側の上限電圧も従来より下げ、電池への負荷を減らす。
すでに同社はこうした改善策の有効性テストに着手しており、テスト自体は4月までに完了する予定。その結果を基にFAAが運航再開の是非を最終判断する。ボーイングは15日、民間航空機部門のレイモンド・コナー社長らが日本で会見。技術系幹部が「改善案が承認されたことは、方向性が正しいというお墨付きを得たに等しい」と解説し、コナー社長は「テストが順調に進めば、運航再開は何カ月後というより何週間後、という認識を持っている」と早期再開に自信を見せた。