マードック所有のワイン農園は何がスゴイのか

ロスの高級ワイナリーに残った「上品な味」

平屋建てのランチ・ハウスは「オズの魔法使」や「風と共に去りぬ」の監督であるヴィクター・フレミングが1930年代に建てた。後に周囲に出現したフランスのシャトー風の邸宅やイタリア風の壮大な大邸宅と比べれば、つつましい建物だった。友人のロナルド・レーガンとナンシー・レーガンが立ち寄った際、ジョーンズ夫妻はここの鶏が生んだ新鮮な卵を土産に持たせたものだ。

モラガのブドウ栽培とワイン醸造の責任者であるリッチ氏 (2016 Zester Media)

モラガワインはジョーンズが1989年に売り出してからずっと、ロサンゼルスのワイン収集家に愛されてきた。ビバリーヒルズのレストランにも置かれている。ただ、この土地は私有地でツアーも試飲室もない。モラガのブドウ畑は高速405号線を見下ろす険しい丘陵にあり、真っ白なゲティ・センターに来館者を運ぶ路面電車からしか見えない。

ジョーンズ夫妻が2005年に地下蔵とワイン醸造所を作るまで、リッチは自宅に近い醸造所までトラックでブドウを運んでいた。モラガで作られるワインには、他の地域の微生物が混入するのを防いで独自のストラクチャーを保つため、新品のオーク樽を使い続けている。

ブドウ畑を残すために資産家を探した

小粒でしっかりとした味のブドウを育てるため、リッチは長い年月をかけて被覆作物を導入するとともに農薬使用を限定し、乾地農業への切り替えを進めてきた。リッチは「乾地農業は謙虚さを教えてくれる。管理することができないのだ」と、諦めの念を示しながら語った。

妻のルースが2013年に死去すると、90代になっていたジョーンズは、ブドウ畑を残してくれると確信できる人にモラガを売りたいと考えた。リッチは「次の所有者の条件は、住宅開発業者に土地を売るよう説得されてしまわないよう、十分な資産を持っていることだった」と振り返る。

名乗り出る人が誰もいなかったため、ジョーンズはWSJに広告を出した。ジョーンズはマードックに土地を売った直後に、世を去った。

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