マードック所有のワイン農園は何がスゴイのか ロスの高級ワイナリーに残った「上品な味」
モラガ・エステートの丘にあるブドウ畑の頂上に立つと、この土地のワインを特徴付ける太平洋の涼しい風を感じながらサンタモニカ・ベイを眺めることができる。モラガでは果物がゆっくりと熟すため、気温が急上昇しがちなナパ・バレーなどよりも上品な味のワインが生まれる。
しかし、これはモラガ・エステートが世界で最も高価なブドウ畑である理由ではない。モラガはロサンゼルスの高級住宅地ベル・エアにある。
3年前にマードックが衝動買い
モラガのワインを特徴づけるもう一つの要素は、億万長者でメディア王のルパート・マードックが持ち主である点だ。ウェンディ・デンと離婚し、ミック・ジャガーの元妻ジェリー・ホールとの間に恋が芽生えた3年前に、マードックはニューズ・コーポレーションが所有するウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)に掲載された広告に触発され、ワイン醸造所と13エーカーの土地を2880万ドルで衝動買いした。
この取引の後、モラガやそのワインに関する記事はほとんど世に出ていない。マードックはどのような変化をもたらしたのだろうか?
ワイン愛好家にとっての朗報は、過去15年間ここでワイン醸造とブドウ栽培を手がけてきたスコット・リッチが今だに責任者である点だ。ブドウ畑を管理する従業員8人に彼が出す指示は昔と変わらない。夏場に「タンニンの生成を促す光」と、湿気を飛ばす風がちょうど良い具合でブドウに当たるようにするため、房の周囲の葉を手で摘み取らせている。
モラガ・エステートは、1959年からこの土地に住んでいたノースロップ社の元CEO(経営最高責任者)トマス・V・ジョーンズとその妻ルースが生み出した。彼らが初めてブドウを植えたのは、周りがまだ馬の放牧地だった1978年だった。