中卒で性転換者、台湾「異例の新閣僚」の正体 35歳の天才・唐鳳氏の素顔とは?
日本の首相に当たる行政院の林全院長は「唐氏の役割は、これまでの政務委員とはちょっと違う。各部署が政策に関して対外的なコミュニケーションを行えるプラットフォームをつくり、民間が政府の情報を十分に利用できるようにして産業界でイノベーションを生みだすこと」と説明している。政府が国民との対話やコミュニケーションだけでなく、情報公開と情報技術を通じて産業構造の改革を行うための人物が、まさしく唐氏だということだ。
林行政院長は当初、唐氏に「ITとインターネット分野でよい人材を推薦してほしい」と相談していたという。ところが、唐氏に相談するのではなく、唐氏こそがその最適任者として多くの人から言われて唐氏に要請、これを受け入れたという話だ。
破格の人事で政権浮揚も
唐氏の政務委員任命は、蔡英文政権にとって政権の起爆剤にもなったかもしれない。
蔡英文政権は若い世代から圧倒的な支持を得て、今年1月の総統選挙に勝利。就任後、前の国民党政権が推進した高等学校の歴史教科書とその編集綱領の修正案を撤廃し、また国民党がこれまで不当に蓄財していた財産(党産)を没収する姿勢を見せた。これらは若い世代にとって関心が高いイシューでもあり、蔡英文政権への支持を高めた。
ところが、閣僚人事に対しては「旧態依然とした選び方」「適任者を選んでいない」といった批判が集中した。実際に、閣僚の平均年齢は62歳、37人のうち女性はわずか4人という人事案は、初の女性総統なのにこの程度かと、支持勢力をがっかりさせた。そのような中での唐氏任命は、若い世代の内閣支持に肯定的に作用したと評価されている。
では、唐鳳氏はどのような人物なのか。