旭化成、“第2のサランラップ"育てる 家庭用洗剤「フロッシュ」に懸ける狙い

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旭化成グループといえば、化学、住宅、建材、繊維、エレクトロニクス、医薬・医療など持ち株会社の傘下に事業会社を多数抱え、世界でも有数の多角化経営を展開する企業で、グループ売上高は約1.6兆円を誇る。フロッシュブランドが、旭化成の掲げる15年度目標をクリアしたとしても、数字だけを見ればグループ全体における存在感は決して大きくない。

だが、今回、大々的なPR戦略を展開しているように、旭化成グループにとってフロッシュは、大事な商品には違いない。

「サランラップ」は圧倒的なシェア

日本の消費者が知る旭化成のブランドで有名なのは、食品包装・保存商品の「サランラップ」「ジップロック」、そして住宅の「ヘーベルハウス」である。中でも、サランラップはとくに同種の製品の中では圧倒的なブランド力を持っており、シェアは約50%という。

ただ、国内市場が成熟化する中で、一般消費財を拡大していくには、食品包装・保存商品分野だけでは成長に限界がある。そこで旭化成が「新たなジャンルへと挑戦するために、欧州を中心にいろんな分野の商品をかなり探し、ようやくたどり着いた」(旭化成ホームプロダクツの山崎社長)のがフロッシュなのである。

フロッシュは、おひざ元の日本で、サランラップやジップロックなどで得たブランドイメージをさらに向上させる役割を担う。サランラップの売上高も年間数百億円。フロッシュに旭化成が期待する役割は、絶対的な数字以上に大きい。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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