ホンダ「NSX」は超高級車として通用するのか 10年ぶり復活したスーパーカーの実力と価値

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911ターボの性能数値は最高出力540ps(馬力)、最高速度320km/hで、NSXはシステム最高出力581ps、北米仕様の最高速度307km/h。パワーで上回るNSXがスピードで劣るのは、1780kgという車両重量が影響しているためである。その代わり燃費はNSXが大きく上回るはずだ。

ちなみに911ターボには、最高出力を580psに高めるとともに、それ以外の部分にも手を加えることで、330km/hのスピードを実現した911ターボSなる車種も存在するが、こちらの価格は2599万円とNSXの上を行く。

「ここまでの高性能を発揮できる場所などあるのか」と疑問に思う人もいるだろう。しかし昨今はパワーやスピードも、それを生み出すテクノロジーともども、ブランドの優劣を決める尺度のひとつになっている。こういうクルマを買う人の多くは、500psを実際に試すことなどない。付加価値指数として考えている。現に最近の箱根では、ゆったり流すフェラーリやポルシェが多い。

似たような性能のスーパーカー

日産自動車「GT-R」

さらに似たような性能のスーパーカーを探すと、もう1台浮上する。日産自動車の「GT-R」だ。こちらも6気筒ツインターボエンジン、デュアルクラッチ・トランスミッション、4WDという部分は共通しており、3.8ℓという排気量は911ターボに等しい。570psという最高出力は2車の中間。911より広い後席を持つために、ボディ形状は空気抵抗では不利そうだが、最高速度は309km/hとNSXをわずかに上回る。

ところが価格は2台より大幅に安い。ベースモデルに相当するピュアエディションでは996万0840円と、1000万円を切る。

そもそもGT-Rは、911ターボに匹敵する高性能を、はるかに安い価格で提供することを目標のひとつとして開発された。そのためプラットフォームやV6エンジンなど、多くのコンポーネンツがほかの日産車と共通とされ、ボディは一般的なスティール製モノコックとなっている。こうした成り立ちが、スーパーカーの価格破壊と言われる独自の立ち位置を生んだ。

911ターボもボディはスティール製モノコックであり、プラットフォームやパワートレインはほかの911と基本的に共通である。911のボディはクーペのほかカブリオレやタルガも選べ、グレードもカレラ4、カレラGTS、GT3 RSなど数多い。GT-Rとは違う意味で、スケールメリットを生かした設計がなされている。

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