黒田日銀のキーワードは「シンプル」 金融緩和策は複雑ではなく単純明快に

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2人の副総裁の役割も重要(左が岩田副総裁、右が中曽副総裁)

効果を発揮するうえで、黒田総裁が、重要だと改めて強調したのが「期待」だった。「日銀が行動することを示すことで人々の期待に働きかけ、デフレ期待を弱める(人々が、デフレが続かないと予想すること)ことで、金融政策の効果がより大きく出てくる」(黒田総裁)というものだ。

また、岩田副総裁が「金融政策でデフレ予想を覆し、インフレ予想に転換できるのかどうかという点は、必ずしも今までの日本銀行の立場と私の立場と一致はしていないのでは」と述べたように、期待の効用を重視する考えは従来の日銀理論にはなかった。だが、新たに就任した黒田総裁と岩田副総裁がもっとも重視している点が、この「期待」への働きかけでもある。

株式相場は、期待先行で活況を呈している。”期待値”が上がる中、黒田新総裁がいかなる政策を打ち出すのか。黒田日銀による最初の金融政策決定会合は、今までになく注目度が高い。 

(撮影:尾形 文繁)

井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融業界の業界担当、東洋経済オンライン編集部、週刊東洋経済編集部などを経て、2023年4月より東洋経済オンライン編集長。

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