ここでは2016年度後半から2017年度にかけ、「快晴・晴れ」「薄曇り・曇り」「雨・大雨」と予想されている主な業界をそれぞれ紹介していこう。
好調を意味する「快晴・晴れ」が続く業界の筆頭はゲーム業界だ。スマートフォンゲーム市場は安定成長が見込め、家庭用ゲーム市場も2016年にVR(バーチャルリアリティ)対応のゲームが相次いで発売されるなど、話題が目白押しだ。スマホの普及でeコマースなどネット産業の成長も続く。さらに人材サービスも人手不足を追い風に好調な業界のひとつだ。訪日外国人客の増加でホテルはほぼ満室の状態で、今後もその勢いはとまらない。建設も首都圏再開発と東京五輪などを控えて活況が続いており、むしろ人手不足の状態が続いている。
商社やマスコミは雨模様
「薄曇り・曇り」にはよくいえば安定的、悪くいえば国内中心で頭打ちの業界がひしめいている。就職先として人気の高い加工食品、酒類など食品系は、もともとドメスティックな産業だが、縮小する国内市場から飛び出し、海外展開を進める企業も存在する。医薬品も大手を除き国内売上比率が高く、さらに医療費抑制による薬価の値下げ改定もあり厳しい環境に置かれる。化粧品や百貨店は、訪日外国人の“爆買い”が一時期ほどの勢いがなくなってきており、再び国内市場の停滞に直面している。
業界の低迷を意味する「雨・大雨」の業界の筆頭としては、放送・全国紙や出版・書店といったマスコミが挙げられる。採用人数が少なく就活は過熱しがちだが、スマホの普及により構造不況にあえぐ。各社は聖域だった待遇面にもメスを入れ始めている。音楽もCDが売れず、低落傾向だ。大学や教育・学習塾は少子化の中、優勝劣敗が鮮明になっている。長らく就活の花形業界である総合商社も、資源頼みの成長モデルが崩れる中、得意分野への傾斜を強めている。
『業界地図 2017年版』では全業界のこうした天気予想に加え、巻頭に主要業界の業界規模と前年度比での拡大・縮小を、鳥と羽根の大きさと動きで表したインフォグラフィックも掲載した。これを見ると、たとえば日本で最大の業界は不動産で、足元は市場が拡大していることがわかる。不動産と比べたら吹けば飛ぶような業界規模のビッグデータやクラウドも、成長力があり興味深い業界だ。このような業界の好調度合いを、志望業界選びの判断材料として役立ててほしい。
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