ガラパゴス的雇用が、生き残る道 未来の仕事はどうなるのか?

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トヨタ、コマツに共通のモノカルチャーの強み

日本企業の社員を大量に取材してきた私には、どちらも一長一短で、多様性が強いとは思えない。現実にグローバル競争で勝っている企業は、トヨタ、コマツ、任天堂と、いずれもモノカルチャーそのもので、外国人は主要幹部にはいない。

内需でも、強力なリーダーがいて、モノカルチャーに染め上げた企業ほど強い。ユニクロやセブン-イレブン・ジャパンがその代表である。モノカルチャーは、方向が決まっている場合のスピードで有利だ。

短所は、イノベーションが起きにくいこと。世界に名をとどろかせた日本発の製品といわれても、30年前のソニーのウォークマンの後はゲーム機くらい。であれば、強みを生かしてモノカルチャーで勝負すればよく、日本企業がシリコンバレーのまね事をしても勝てないし、シリコンバレーは国ではないから、国民の雇用を守れない。

ユニクロは品質が良いがデザインはダサい、ZARAはその逆だ──両社の元社員を取材した際、そう聞いた。日本企業は「カイゼン」による品質向上が得意。より細く小さい胃カメラ(オリンパス)、より軽くて丈夫な機体素材(東レ)……と、方向性が決まっている分野が強い。

対談であらためて認識したのは、日本の労働市場のユニークさだ。現在、日本は単純労働の移民を受け入れず、高い能力を持つホワイトカラー層に対しては開放しているが、「来てもらえない」状態にある。

グローバル上位層にとっては、伸びしろがなく英語も通じない日本市場は魅力に乏しく、優秀なインド人IT技術者などは、やはり米国を目指す。それは25年でも同じだろう。

つまり、緩やかに減る1億人超の人口と1500兆円の金融資産を抱えたまま、単一言語、ほぼ単一民族を維持する。それが「閉ざされた状態」と批判されようが、国内で競争があるなら、「モノカルチャー人材戦略」で問題はない。

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