「町田vs立川」住むのに便利な街はどっち? 人気の中央線沿線か、複々線化進む小田急か
もし通勤時間帯に中央線が中央特快、もしくは通勤特快を頻発させれば勝てるものの、それだけの余裕は中央線にはない。中央線は線路が直線で駅間距離も長く、ポテンシャルの高い路線だが、通勤時間帯には線路の容量がいっぱいで、その力をフルに発揮できないのだ。
国鉄時代、中央線も立川まで複々線にする計画があった。1966年には荻窪まで、1969年には三鷹までの複々線化が完了している。しかし、立川までの複々線は結局完成しなかった。同時期に常磐線や東北・高崎線、総武線系統は複々線化がなされており、そのために大量の遠方からの通勤客をさばくことができるようになった。もしこの計画が成功していたなら、立川から新宿まではもっと早く着くことができたはずだ。
複々線化を願う声は今でもある。国土交通省の交通政策審議会が4月に出した答申では、東京から三鷹までの京葉線延長と、三鷹から立川までの中央線の複々線化は「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」となっているほか、多摩地域の自治体の首長による「三鷹・立川間立体化複々線促進協議会及び多摩地域都市モノレール等建設促進協議会」は、今年5月23日に都の協力を求める要望書を知事に提出している。この協議会の会長は、立川市の清水庄平市長だ。
国鉄時代に複々線にできなかったことがいまに響いている立川。長年の複々線事業の実現がさらに街を発展させる可能性がある町田。新宿からの距離や時間はだいたい同じであるものの、通勤時の所要時間という点では、近く町田が立川を引き離しそうだ。
では、立川と町田は、どんな街なのだろうか。
行政機関が集中する立川
立川市は面積が約24平方km、人口は約17万6500人。立川駅の1日平均乗車人員は16万3903人(2015年度)で、JR東日本全体では15位、多摩地区ではトップ。多摩都市モノレールの立川北駅、立川南駅はそれぞれ2万0456人、1万6152人(2015年度)で、3駅を合計すると20万0511人となる。多摩地域の行政上の中心地として、多くの行政機関が集中している街だ。
例えば、駅の北側にある「立川広域防災基地」は、大規模災害時に広域的な対応を行うための基地で、警察や消防、自衛隊関連の施設が集められている。また、東京地裁や家裁の支部や、法務省、検察庁、財務省、厚生労働省、国土交通省の機関のほか、国立国語研究所や統計数理研究所などの大学共同利用機関法人もこの地に置かれている。その多くは、かつての米軍立川基地の跡地に立地している。
商業施設としては、伊勢丹や高島屋といった百貨店、ルミネやグランデュオといった商業施設がある。が、多摩都市モノレールの開業に合わせた駅周辺の区画整理や、基地跡地の開発など大規模な開発によって形作られた街だからか「すでにできあがってしまっている街」という側面も感じられる。これからさらに、どう伸びていくのかが課題だ。
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