日常生活のあらゆる所で目にする広告。8月23日に配信した「最新!『広告宣伝費』トップ500社ランキング」には、多方面から反響が寄せられた。企業規模の大きな会社ほど上位に目立ったが、金額の多寡以外にも広告宣伝の積極性を測る見方がある。
東洋経済オンラインは、主要な上場企業の売上高に占める広告宣伝費の比率を独自調査。最新の有価証券報告書(2015年5月期~2016年4月期)で開示されている販管費の内訳から、売り上げ広告比率の高い上位200社をランキングにした。
ランキングには売り上げ広告費比率のほか、売上高、広告宣伝費を併載。売り上げを稼ぐためにどれだけの広告宣伝費が必要になったのかを一目でわかるようにした。
新興企業は広告で知名度向上を狙う
1位のアドベンチャーは、国内の航空券を主力とする比較予約サイト「スカイチケット」を運営する。LCC(格安航空会社)と大手航空会社の金額を比較できるほか、大手航空会社のサイトからは購入できない株主優待券価格でもチケットを購入できるのが特徴。直近本決算の広告宣伝費は10億円。売り上げ広告比率は67%。ざっくり言うと1億円の売り上げを稼ぐのに6700万円の広告宣伝費を投じた計算となる。
2位はGunosy(グノシー)。売り上げ広告比率は62.1%だ。スマートフォンやタブレット端末で、新聞や雑誌などの記事を配信する、キュレーションアプリを展開する。記事内容を紹介するテレビCMも積極的に放映しているので、目にしている人も多いかもしれない。直近の決算短信(2016年5月期)によると、売上高は約46億円、営業利益は5.6億円で増収増益となっている。
上位2社は、いずれも2014年以降に上場した新しい会社。いかに知名度を向上して、ユーザーを獲得できるかが今後の成長を握る。上場で得られた資金を元手に先行投資と考えて、思い切って広告宣伝費を投じている。ただ、売上高の半分以上が広告宣伝費というのは異常な状態ともいえるので、長くは続けられないだろう。ここまでは順調に売り上げ、利益を伸ばしているが、その費用対効果が求められる時期にさしかかっている。
ランキング上位の広告宣伝費は、金額的には10億~100億円程度ながら、売上高の半数以上を広告に使う企業もある。金額でみたときと上位企業の顔ぶれが大きく変わり、業種に注目するとサービス業と情報通信業がずらりと並ぶ。ただ、上位10社のうち4社の直近本決算が本業の儲けを示す営業損益段階で赤字となっている。本業が不振な会社で広告宣伝費が高いのは、あまりいい傾向とはいえない。
調査対象企業は937社。広告宣伝費と販売促進費が合算値で開示されている場合にはその合計値を用いている。企業によっては、同じ広告宣伝費という勘定科目であっても含んでいる範囲が異なる場合もある。
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